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09月16日-05号

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  1. 神奈川県議会 2020-09-16
    09月16日-05号


    取得元: 神奈川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-16
    令和 2年 第三回 定例会 △《本会議録-令和2年第3回-20200916-028725-諸事項-出席議員等・議事日程-》         令和2年第3回神奈川県議会定例会会議録第5号〇令和2年9月16日 午前10時30分開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共103名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   村   ゆうすけ                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   圭   介                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       石   川   裕   憲                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       さ と う   知   一                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       加   藤   元   弥                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       浦   道   健   一                       青   山   圭   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       内   田   み ほ こ                       国   松       誠                       杉   本       透                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       松   本       清                       長   友   よしひろ                       北   井   宏   昭                       菅   原   直   敏                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       作   山   ゆうすけ                       長   田   進   治                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       てらさき    雄   介                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       く さ か   景   子                       曽 我 部   久 美 子       欠 席 議 員                       永   田   磨 梨 奈                       堀   江   則   之       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          髙   澤   幸   夫         総務局長          和   泉   雅   幸         くらし安全防災局長     花   田   忠   雄         スポーツ局長        平   田   良   徳         環境農政局長        石   渡   美 枝 子         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長        前   田   光   哉         産業労働局長兼         エネルギー担当局長     山   田   健   司         県土整備局長        上   前   行   男         労務担当局長兼         デジタル行政担当局長    河   鍋       章         教育委員会教育長      桐   谷   次   郎         同  教育局長       田   代   文   彦         公営企業管理者企業庁長   長 谷 川   幹   男         企業庁企業局長       池   田   雅   夫   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          谷   川   純   一         議会局副局長兼総務課長   霜   尾   克   彦         同  議事課長       小 野 関   浩   人         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和2年第3回神奈川県議会定例会議事日程第5号                            令和2年9月16日午前10時30分開議第1 定県第 90 号議案 令和2年度神奈川一般会計補正予算(第6号)   定県第 91 号議案 神奈川県立国際言語文化アカデミア条例を廃止する等の条例   定県第 92 号議案 神奈川県個人情報保護条例の一部を改正する条例   定県第 93 号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 94 号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例   定県第 95 号議案 知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部を改正する条例   定県第 96 号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例   定県第 97 号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例   定県第 98 号議案 普通財産及び物品の交換、出資、無償譲渡、無償貸付け等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 99 号議案 神奈川県安心こども基金条例の一部を改正する条例   定県第 100号議案 職業能力開発促進法施行条例の一部を改正する条例   定県第 101号議案 警察組織に関する条例の一部を改正する条例   定県第 102号議案 工事請負契約の締結について(かながわ環境整備センターしゃ水施設整備工事請負契約)   定県第 103号議案 工事請負契約の締結について(厚木児童相談所新築工事(建築)請負契約)   定県第 104号議案 工事請負契約の締結について(県立図書館新棟新築工事(建築)請負契約)   定県第 105号議案 工事請負契約の変更について(分庁舎新築工事(建築)請負契約)   定県第 106号議案 工事請負契約の変更について(分庁舎新築工事(機械)請負契約)   定県第 107号議案 工事請負契約の変更について(分庁舎新築工事(電気)請負契約)   定県第 108号議案 工事委託契約の締結について(神奈川県立産業技術短期大学校西キャンパス整備事業委託契約)   定県第 109号議案 動産の取得について   定県第 110号議案 動産の取得について   定県第 111号議案 指定管理者の指定について(宮ケ瀬やまなみセンター、宮ケ瀬湖集団施設地区及び鳥居原園地並びに宮ケ瀬湖カヌー場)   定県第 112号議案 指定管理者の指定について(かながわ労働プラザ)   定県第 113号議案 訴訟の提起について第2 認第1号 令和元年度神奈川公営企業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和2年第3回-20200916-028726-質問・答弁-田中信次議員-一般質問①説明動画の活用について②感染防止対策取組書の活用について③経済活性化に向けたスマートアンプ法簡易パッケージ機器の活用について④地域活動への県職員の参加促進について⑤高齢者のセルフネグレクト対策について⑥災害時の応急給水における県営水道の支援について⑦キャリア教育における「仕事のまなび場」の活用について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共61名 ○議長(嶋村ただし) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(嶋村ただし) 審議を行います。  日程第1、定県第90号議案 令和2年度神奈川一般会計補正予算外23件及び日程第2、認第1号 令和元年度神奈川公営企業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  田中信次君。  〔田中信次議員登壇〕(拍手) ◆田中信次議員 私は自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問させていただきます。  質問に入る前に、一言申し上げます。  本日、神奈川県選出の菅義偉衆議院議員が第99代内閣総理大臣に就任が予定されています。  義理人情に厚い、公明正大な政治スタイル、菅イズムを受け継ぐ者として、県政の諸課題に対して質問させていただきます。  知事並びに福祉子どもみらい局長、企業庁長、教育長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。先輩議員並びに同僚議員におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  〔資料提示〕  質問の第1は、説明動画の活用についてであります。  国では、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、4月7日から緊急事態宣言が発令され、5月25日まで延長されました。  それを受けて、神奈川県では、ゴールデンウイーク中の休業や営業短縮に御協力いただいた事業者には、協力金の支給を決定いたしました。  しかしながら、6月9日、黒岩知事の記者会見で、提出された申請書の9割に不備があることを明らかにいたしました。  私も、知り合いの行政書士の方に御意見を伺ったところ、行政書類としては簡単な部類でありますが、御相談に来た事業者の方々は、こういった書類に慣れておらず、間違いが散見されたと教えてくださいました。  もし窓口があれば、そこで間違いがないかアドバイスを頂けたでしょうが、この協力金の申請については、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、申込み方法が郵送または電子申請でしたので、受理前のチェックができず、結果として、9割もの書類不備が発生してしまいました。  臨時で窓口をつくったり、行政書士会に依頼したりも、今後、場合によっては考えられますが、毎回どの案件にも、とはいかないと思います。文章による説明も示されていたことは承知しておりますが、事業者にしてみれば、毎年恒例ではない初めて作る書類には慣れておらず、どうしても書き間違えや漏れが多くなってしまったのではないかと思われます。  近年は、スマホ等で動画を見ることが日常的になっている中、文章で説明を読むより、説明動画を見たほうが分かりやすい場合も多いのではないかと感じております。  私も、ネットで購入したものを組み立てるとき、説明書ではなく、説明動画を見ることが多くなってきております。  民間企業は、ユーザへの説明方法を文字からイラスト、そして動画へと、より分かりやすい方法へシフトしており、今はノウハウを動画で知る時代なのだと実感しております。  〔資料提示〕  かつて、黒岩知事がキャスターとしての経験を生かして、県民へ分かりやすく県政を説明する、教えて!黒岩さん方式は、当時としては斬新な切り口だったと思います。現在では、実は多くの政治家などにも導入され、研究されています。  コロナ禍の中、ネット動画などを視聴する経験が増えたことなどから、申請書類の書き方などの様々な手続等を含め、説明書代わりの動画があれば、県民にとっては分かりやすく、県にとっても事務の効率化にもつながるのではないかと思われます。  そこで、知事に伺います。  県でも、いわゆるハウツー、説明動画の活用について研究していくべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、感染防止対策取組書の活用についてであります。  感染防止対策取組書は、各事業者における感染防止対策を応援するツールとして、業種ごとに定められた感染防止チェックリストに基づき、店舗や施設等が実施している対策を一覧で示すことで、見える化を図るものです。  これにより、来訪された方に安心、信頼して店舗等を御利用いただくとともに、多くの事業者が参加することで、新たな感染拡大の波を抑え、持続可能な営業環境を保つことができるものと承知しております。  県は、取組書を普及するため、県民や事業者向けに様々な広報を実施し、現在の登録事業者数は5万8,000件を超えていると承知しておりますが、今後も普及を図るためには、取組書の活用方法のさらなる工夫が必要だと考えます。  例えば、結婚式や葬式などの冠婚葬祭は、人生の節目となる行事ですが、コロナ禍においては、新郎新婦や喪主などが、セレモニーの開催を諦めるといったことが生じております。  実際、私がある結婚式場の方から伺った話によると、万全の感染対策を実施しているにもかかわらず、挙式の件数は、コロナ禍以前の3分の1以下とのことであり、挙式を挙げても、友人、同僚、遠い親族は参列しない、家族のみの少人数であるとのことです。  取組書は、事業所単位での発行以外に、事業者が行うイベント単位でも発行できることは承知していますが、新たな活用方法として、県民単位の冠婚葬祭に係るセレモニー開催に当たり、主催者の新郎新婦や喪主が取組書の登録を行い、案内に添付するといった工夫を行うことで、参列者が出席しやすくなる環境づくりを、県が支援するということが必要だと考えます。  そこで、知事に伺います。  感染防止対策取組書について、感染拡大防止社会経済活動の両立を図るためにも、県民にとって大切な人生の節目となる冠婚葬祭に係るセレモニーを主催するに当たり、開催の決断を県が後押しするという、県民に寄り添った新たな活用方法が必要であると考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、経済活性化に向けたスマートアンプ法簡易パッケージ機器の活用についてであります。  新型コロナウイルスの感染拡大により、国内の経済は、猛烈かつ急速な縮小を経験し、4月から6月の国内総生産、いわゆるGDPは戦後最大の落ち込みとなり、今後は新型コロナウイルス感染拡大を抑えつつも、経済の立て直しを図ることが急務であります。  8月28日に開催された国の新型コロナウイルス感染症対策本部においても、ハイリスクの場や、リスクの態様に応じた、めり張りの利いた対策を適切に講じることで、重症者や死亡者をできる限り抑制しつつ、社会経済活動を継続することが可能になると報告されております。  こうした中、例えばグローバル企業の多い本県において、ビジネスの活性化に向けた海外渡航者へのPCR検査の拡大は、一つの経済活性化のトリガーになると考えます。  日本からのビジネス渡航者が最も多い中国では、今後、新たに取得するビザでの入国が可能ですが、2番目に多い韓国では、ビザ申請日から2日以内に医療機関で検査を受けることが必要となっております。  現在、経済産業省では、海外渡航者新型コロナウイルス検査センターの10月運用開始を目指しており、全国で274の医療機関が応募し、1日当たり5,400件程度の検査を行う体制ができていると公表されております。  〔資料提示〕  本来であれば、こうした迅速な検査を、本県が開発したスマートアンプ法を活用した簡易パッケージ機器で行うことができれば、県民に対しても大きなアピールとなると思います。  現在、県では感染拡大防止に向け、検査体制を拡大するために、3月にふるさと納税を活用し、多くの方々からの協力を頂いたスマートアンプ法を活用した簡易パッケージ機器の医療機関への導入を進めていることは承知しておりますが、今後は、経済活性化という視点でも活用し、より多くの方にその成果を還元すべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  本県が開発支援したスマートアンプ法を活用した簡易パッケージ機器について、経済の活性化という視点での活用を検討すべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、地域活動への県職員の参加促進についてであります。  地域の人間関係の希薄化が叫ばれて久しいところですが、これに伴い、自治会役員、青少年指導員スポーツ推進員など、地域活動の担い手不足も顕在化してきており、一口に地域活動と言っても、自治会のように、市町村など行政と関わりの深いものもあれば、いわゆる草野球リーグの審判員などというような民間団体が主導するものもありますが、いずれの活動も、昔はもっと活発に行われていたような感じがしております。  また、今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、各地域での恒例の夏祭りも開催されないなど、地域活動をめぐる問題は、一気に深刻なものとなっております。  最近では、例えば自治会役員を世帯ごとの持ち回り制にするといった事例も耳にしますが、こうした時代にあっては、やはり、地域への愛着を持ち、自ら進んで様々な地域課題に取り組み、地域活性化に貢献してくれる人材が求められているものと思います。  〔資料提示〕  その点で、地方公務員である職員の皆さんは、もともと公共のため、地域のために働きたいという意欲を持っているため、地域の期待も大きいと考えます。  しかしながら、一方では、職員が地域団体の役員など、謝礼を得て何らかの地域活動を行おうとする際には、法令や県の内部ルールによる兼業の許可を得る必要があり、手続に時間がかかるということも聞いております。  そのため、結果的に、職員が活動への参加をちゅうちょするだけでなく、団体側もその人が公務員だと分かった途端に、役員を頼みづらくなったという話も聞いております。  ただ一点、かつて、平成25年11月には、東日本大震災の後、消防団の人材不足に対して、総務省が各自治体宛てに、地方公務員の消防団への加入促進を要請したことがあり、県としても、当時、職員に消防団への参加を推奨したことがあったと承知しております。  コミュニティの再生を掲げる知事としては、そうした事例も生かして、より積極的に職員が地域で活躍できるように配慮していただきたいと考えます。  もちろん、職務上、利害関係がある団体や公序良俗に反する団体で活動することは、あってはなりませんが、職員が地域活動を通じて住民の思いを知ることにより、県政にもよい影響があると思われます。  また、職員が仕事上の知見を生かして、地域住民のアドバイザーになってもらえるようになれば、住民にとっては大きなメリットになります。さらには、現役のときから地域との関わりを持つことで、退職後、円滑に地域に溶け込めると思われます。  そこで、知事に伺います。  地域コミュニティの活性化につなげるため、職員の兼業許可に関する内部ルールを緩和するなど、職員が地域活動に参加しやすい環境をつくることが重要と考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、高齢者のセルフネグレクト対策についてであります。  高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、地域の見守りを充実し、支援が必要な方には、適切な医療・介護サービスを提供していくことが必要であります。  しかし、地域から孤立し、自宅にごみをため込んだり、地域の支援や介護サービスの利用を拒否するなど、社会から孤立し、生活行為や心身の健康維持ができなくなる状況、いわゆるセルフネグレクトの問題が大きくなってきております。  地元で聞いた例として、独り暮らしの男性高齢者が、ごみの分別ルールがよく理解できないまま集積所にごみを持ち込み、近所の住民に厳しく注意されたことから、家屋内にごみをため込んでしまい、ごみでトイレへの動線も塞がれ、汚物も家の中に放置され、結局は自宅で生活できない状況となり、施設へ入所したそうであります。  高齢者が増えていく中、こうした状況は、ほかの地域でも起きているのではないかと思われます。  セルフネグレクトの状態に陥ってしまう高齢者に対する支援や対策は、市町村で行うものと承知しておりますが、現状を見ると、対策の難しさとともに、対応の必要性も改めて感じるところであります。  本県においても、高齢化が加速する中、セルフネグレクトの問題の増加、深刻化が懸念されます。県としても、高齢者一人一人が尊重され、安心して暮らせるよう、市町村との連携に取り組んでいただく必要があると考えます。  そこで、福祉子どもみらい局長に伺います。  高齢者が安心して地域で暮らし続けるため、県として、高齢者のセルフネグレクト問題について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、災害時の応急給水における県営水道の支援についてであります。  現在、本格的な台風シーズンを迎えたところでありますが、本県でも、昨年は、台風19号により、複数の市町村で水道施設が被害を受け、応急給水が行われたことを記憶しております。  12市6町を給水区域とする県営水道においても、浄水場に電力を供給する送電線や、小規模水源の取水施設の被災により、最大で3,600戸が断水し、断水解消まで1週間程度を要したと聞いております。  その教訓を踏まえ、ハード面では、浄水場の停電対策や、より安定性の高い系統への切り替えなどに着手していることは承知しております。  本日、改めて確認させていただきたいことは、災害時の応急給水における県営水道の支援についてであります。  〔資料提示〕  神奈川県地域防災計画では、災害時における応急給水は、住民に身近な基礎自治体である市町村の役割とされており、まずは市町村が応急給水を行うことに自覚を持ち、しっかりと災害時に備えてもらうことが、何より大事だと思っております。  しかし、県営水道の給水区域内の市町は、水道事業そのものを行っていないため、市町単独での水の確保や資機材の確保には限界があると考えます。そのために、県営水道には、日頃から市町と連携して、しっかりと市町の応急給水を支援する必要があります。  しかし、こうした応急給水は、全国的な被災の状況を見ると、大規模な災害となれば単独で実施することが難しい状況であり、現に昨年の台風第19号の際には、県営水道の給水区域外となる山北町や清川村では、県営水道やほかの大規模水道事業者が、支援を行って対応しました。  こうした県営水道の給水区域外の中小規模の市町村にとって、単独での対応が困難になった場合は、県営水道など、大規模水道事業者による支援があると分かれば、住民の大きな安心になるものと思います。  そこで、企業庁長に伺います。  災害時における応急給水は、まず被災市町村の自助により対応するのが基本ですが、県営水道では、給水区域内の市町とどのように連携していくのか、また、給水区域外の特に小規模な町村に対して、県営水道はどのような支援ができるのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  質問の第7は、キャリア教育における「仕事のまなび場」の活用についてです。  コロナ禍で経済活動が停滞し、景気が厳しい状況にありますが、そうした中でも日本の将来を担う人材を育むためにキャリア教育は必要であり、特に、高校生にとって、将来の仕事について考える機会を持つことは大切であると考えます。  県立高校でのキャリア教育の指針では、学校外における体験的な学習活動が極めて貴重な機会であるとされ、その例として、仕事のまなび場への参加が挙げられていると承知しております。  我が会派の教育政策の研究グループでは、8月3日、この仕事のまなび場の見学会を視察いたしました。  この事業は、神奈川県専修学校各種学校協会が主催し、会員校が行う職業教育に関連した体験学習を高校生等に提供することで、職業観、就労観の育成に役立てていこうという事業であります。  見学会では、高校生がイラストや革製品の小物制作などに取り組んでおり、どの講座でも、自分なりに工夫して、制作や作画に向かう様子などを見ることができました。  また、講師の方が、実際の仕事の現場のことなどを丁寧に話されており、生徒にとって、職業について考えるよい機会になっていると感じたところであります。  さらに、今回はインクルーシブ教育実践推進校から、特別募集により入学した知的障害のある生徒の皆さんも参加しているとのことでした。  見学してみて、参加している生徒は皆、熱心に取り組んでいて、こうした事業は、どの生徒にとっても有効であるという感触を得ることができました。  見学会を通して、仕事のまなび場は、生徒のキャリア教育にとって大変効果があると感じましたが、協会の方によると、近年は参加する学校数や生徒数が減少しているとのことであります。  また、インクルーシブ教育実践推進校からの参加については、高校側と協会の協議の上で、今年度から協会側で募集に当たって配慮したとのことですが、特別募集で入学した生徒の参加は、14校中3校であったと伺いました。  新型コロナウイルス感染症の影響でやむを得ない面があると思いますが、障害のある生徒にとって、進路の選択を考える上で、様々な職業を知るよい機会であり、こうした生徒の仕事のまなび場の活用が、今後進むことを願うものであります。  高校生のキャリア教育のより一層の充実に向けて、仕事のまなび場の活用を進めていくことが必要と考えます。  そこで、教育長に伺います。  キャリア教育をより一層充実させる視点から、インクルーシブ教育実践推進校も含め、県立高校における仕事のまなび場の活用について、今後どのような方針で取り組んでいくのか、見解を伺います。  以上をもちまして、私の1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 田中議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、説明動画の活用についてお尋ねがありました。  私は長く携わったテレビの仕事を通じて、動画には、非常に大きな伝える力があると実感をしています。このため、かなチャンTVを開設し、動画を活用した情報発信に力を入れてきました。  新型コロナウイルス感染症については、緊急事態宣言発出後、私からのメッセージ動画を毎日配信し、その視聴回数は最高で8万7,000回を超えました。  さらに、正しい手洗いや新しい生活様式、感染防止対策取組書等についての説明動画も制作し、このうち、例えば手洗いの動画についての視聴回数は13万回を超えています。  動画は、文字やイラストだけの情報に比べ、多くの情報を効率的に分かりやすく伝えることが可能です。特に、今は新型コロナの影響で、講習会や説明会の開催が難しく、これに代わるものとしても、説明動画を積極的に活用していくことは大変重要であると認識しています。  一方で、動画制作には、台本の作成から撮影、編集などの手間や時間がかかります。また、今回の新型コロナウイルスの協力金手続など、急を要する課題に、迅速に対応するためには、それぞれの業務を担当する職員が動画制作のスキルを持っているといったことも必要です。  そこで、民間の例も参考にしながら、効果的、効率的な説明動画の制作・活用方法について研究を深めていきます。  さらに、今後、こうした動画のニーズはますます高まると見込まれるため、対応可能な職員の育成にも、より一層力を入れていきます。  そして、県民目線に立った説明動画を積極的に制作・活用し、より分かりやすく、伝わる広報をタイムリーに展開してまいります。  次に、感染防止対策取組書の活用についてお尋ねがありました。  今般のコロナ禍において、結婚式などの冠婚葬祭は、主催者が会場での感染発生を懸念し、開催規模の縮小や、開催そのものを断念している事例が多くあると聞いています。  新型コロナウイルス感染症の拡大により、人生の節目となる大切なセレモニーを諦めざるを得ないことは、大変残念なことです。  現在、県では、店舗等で実施している感染防止対策を見える化し、県民の皆様に安心して御利用いただくため、感染防止対策取組書の普及に努めています。  今回の議員の御提案は、この取組書を活用することで、セレモニーを開催しやすく、また、多くの方々に安心して参加してもらえるようにする、県民目線に立ったものと受け止めています。  また、会場を提供する事業者にとっても、需要の喚起につながるものであり、経済の回復という面でも、大変有効な活用方法だと思います。  そこで、今後、取組書に御登録いただいている事業者と連携して、その事業者が運営するセレモニー会場の冠婚葬祭における感染防止の取組を、主催者からも発信できるような工夫を検討していきます。  また、取組書にまだ御登録いただいていない事業者にも、こうした新たな活用方法を周知し、登録を促していきたいと考えています。  こうした取組により、利用者が安心して参加できる環境を整備し、人生の節目となる大切なセレモニーの開催を後押しするとともに、感染拡大防止社会経済活動の両立につなげてまいります。  次に、経済活性化に向けたスマートアンプ法簡易パッケージ機器の活用についてお尋ねがありました。  県では、今年3月に新型コロナウイルス感染症対策に活用するためのふるさと納税を実施し、1,200万円を超える寄附を頂きました。  この寄附金も活用して、県と連携する理化学研究所発のベンチャー企業を支援し、7月には、スマートアンプ法を活用した新型コロナウイルスの迅速検出法の簡易パッケージ機器が開発されました。  そこで、まずは、医療面での検査ニーズに対応するため、この検査機器をより多くの医療機関で導入していただくよう取り組んでいるところです。  一方、社会経済活動が徐々に拡大する中で、医療目的以外の検査に対するニーズも高まっています。中でも、海外渡航者については、各国がウイルス検査で陰性であることを入国条件としていることから、国において、検査体制の整備を進めています。  また、スポーツ競技やイベント等を行う際に、感染防止対策の一環として、スタッフ等の検査を行うケースも増えていると聞いています。  そうした中、検査の迅速性や持ち運び可能という機器の特性に着目して、簡易パッケージ機器を導入したスポーツ団体等も出てきました。  そこで、今後、スポーツ団体等での活用実績を踏まえ、海外渡航者への検査やイベントでの活用など、コロナ禍での経済活動の活性化に寄与できる方法について、製造・販売企業と連携しながら検討していきます。  県としては、医療機関における検査体制の拡大に加え、経済の活性化という視点も踏まえて、簡易パッケージ機器の有効な活用を図ってまいります。  最後に、地域活動への県職員の参加促進についてお尋ねがありました。  県民一人一人の命が輝き、笑いあふれる100歳時代を過ごしていくためには、食、運動とともに社会参加が欠かせません。特に、社会参加の鍵であり、身近な存在である地域コミュニティを活性化することは大変重要です。  このため、県としても、かながわコミュニティ再生・活性化事例集を作成するなど、新たな取組を進め、市町村と連携して、地域で活躍している人材、団体等の取組を後押ししています。  また、職員に対しても、人生100歳時代を意識し、地域活動に参加するなど、県庁以外で活躍の場を持つことを、機会あるごとに勧めてきました。  一方、職員が地域団体の役員になると、一定の謝礼が支給される場合がありますが、法令や県独自のルールによって、厳しい条件や許可手続が必要となっています。  そこで、職員が積極的に地域活動に参加できるよう、この年末までに、これらの規制を緩和します。  具体的には、法令で定められている利害関係のある団体の業務に従事しないなどの要件は厳守した上で、職員にとって研修効果があることといった県独自の要件を廃止します。  また、謝礼についても、地域団体等が定める謝礼の額が常識の範囲内であれば、これを受け取ることを認めていきます。  さらに、これらの許可手続については、人事課でも決裁していましたが、これを廃止し、各所属の権限で許可を可能とします。  加えて、職員が地域活動に参加しやすく、地域団体からも職員に声をかけやすくするため、参加可能な活動リストを作成して、県のホームページ等を通じて広く庁内外に公表します。  こうした取組により、職員が、行政で培った知識や個人的スキルを様々な分野で存分に発揮できるよう、庁内の規制緩和を進め、地域活動に参加しやすい環境を整えてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔福祉子どもみらい局長(橋本和也)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 橋本福祉子どもみらい局長。 ◎福祉子どもみらい局長(橋本和也) 福祉子どもみらい局関係の御質問にお答えします。  高齢者のセルフネグレクト対策についてお尋ねがありました。  高齢者が自らの意思で介護や医療サービスを拒否し、社会から孤立してしまうセルフネグレクトは、認知症や精神疾患を抱える方も多く、支援は困難を伴います。  そして、高齢者への虐待問題と同様に、生命に重大な危険が生じるおそれがあり、県として、市町村と連携して取り組んでいくことが重要です。  県では、市町村向けに作成している高齢者虐待防止対応マニュアルを、昨年度改訂し、セルフネグレクト対策の重要性を示しました。  また、市町村の認知症初期集中支援チームの活動事例集の中に、ごみを捨てられない、身の回りのことができない、などといったセルフネグレクトの事例を複数盛り込みました。  しかし、現在も、実際に支援に当たる市町村からは、関わりが難しい方への対応に困っているとの声が県に寄せられており、市町村への支援を強化することが必要と考えています。  そこで、県では、地域包括支援センターの職員向けの研修に、セルフネグレクト対策を加えるなど、適切な支援に結びつけられる対応力の向上を図っていきます。  また、市町村が開催する地域ケア会議に、精神保健福祉司や、財産管理に知見のある弁護士など、セルフネグレクトにも対応できる専門家を派遣し、市町村の取組を支援していきます。  今後も、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、市町村や地域包括支援センターと連携して取り組んでいきます。  私からの答弁は以上です。  〔企業庁長(長谷川幹男)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 長谷川企業庁長。 ◎企業庁長(長谷川幹男) 企業庁関係の御質問にお答えいたします。  災害時の応急給水における県営水道の支援についてです。  災害時の応急給水は、被災者の命綱であり、大変重要な取組です。この応急給水は、県の地域防災計画で、市町村の役割とされていますが、県営水道給水区域の市町は、水道事業を行っていませんので、応急給水には県営水道との連携が不可欠です。  このため、企業庁では、県営水道の配水池のうち、37か所を災害用に指定し、給水人口1人当たり約120リットルの水を常に確保するとともに、水道営業所等に給水車、給水タンク、非常用飲料水袋などの資機材を配備し、市町と連携する体制を整えています。  しかし、昨年、台風被害が生じた際の応急給水では、市町との情報共有が不足するなど、初動対応に課題がありました。  そこで、今年度は、市町と共に具体的な初動対応を整理した手順書を作成し、ソフト面での連携も充実させたところでございます。  今後は、この手順書を活用して、より実践的な合同訓練を行うなど、連携体制を一層強化していきます。  一方、給水区域以外の市町村については、県営水道独自に支援する仕組みはありませんが、全国の水道事業者が加盟する日本水道協会のネットワークによる支援の仕組みが整えられています。  この仕組みでは、応急給水には迅速性が求められることから、近隣の水道事業者による初期対応が基本となっており、特に小規模な町村には、県営水道などの大規模水道事業者による支援が必要と認識しています。  そこで、県営水道としては、給水区域以外の市町村に対しても、給水車の派遣、あるいは水や資機材の提供など、できる限りの支援をしてまいります。  企業庁は、大規模水道事業者として、災害時においても県民の皆様に水をお届けできるよう、今後も市町村の応急給水支援にしっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  キャリア教育における「仕事のまなび場」の活用についてです。  仕事のまなび場は、平成16年度から、神奈川県専修学校各種学校協会が主催し、県と県教育委員会の共催により開催されています。  この事業は、職業観、勤労観等を育成するキャリア教育の一環として、高校生にとって効果ある取組と考えています。  県教育委員会では、これまでも各校に事業の趣旨を周知するとともに、管理職を対象とした説明会において、専各協会の方から積極的な活用を呼びかけていただくなど、広報に努めてきました。  しかし、ここ数年、参加する生徒数は減少傾向にあり、昨年度、49校、721名が参加していましたが、本年度は23校、213名という状況でした。そのうち、インクルーシブ教育実践推進校に特別募集で入学した生徒は、3校で29名でした。  近年、各高校では、授業の充実に向けて、その時間確保のために、夏季休業の期間を短縮する傾向にあります。このことが、夏の期間に開催される、まなび場事業への参加人数に影響を与えていると考えられます。  特に、今年度は、コロナ禍の中での大幅な休業期間の短縮となり、生徒の参加が難しかったという実情があります。  そこで、県教育委員会では、仕事のまなび場への積極的な参加に向けて、早い時期からの学校への周知と併せて、各校の夏季休業の期間をあらかじめ専各協会に提供し、開催時期について御協力を頂くなど、協会との一層の連携を図っていきたいと考えています。  また、インクルーシブ教育実践推進校においては、生徒一人一人の興味、関心や進路希望等を踏まえて、まなび場事業の講座内容を丁寧に説明するなど、きめ細かな情報提供に努めていきます。  こうした取組により、県立高校におけるキャリア教育の充実に向けて、仕事のまなび場の一層の活用を図ってまいります。  以上でございます。  〔田中信次議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 田中信次君。  〔田中信次議員登壇〕 ◆田中信次議員 御答弁を頂きました。  それでは、1問、再質問させていただきます。  高齢者のセルフネグレクト対策について行いますが、セルフネグレクトの問題は、該当者へのアプローチが難しいものと承知しており、対応する担当の方による部分がかなり大きいのかなという思いがあります。  先日、地元の認知症関係の施設で、旧知の方が退職後、当施設で再就職している現場に遭いました。利用されている高齢者の、利用者の方ですけれども、大変信頼されているという印象がありました。  退職者、シニア層の方々というのは、年齢を重ねて共感力や人間力が培われており、セカンドキャリアとして地域の支え合いに加わってもらうことで、特に対応が難しいと言われるセルフネグレクトの対応も担うことが可能なのではないかと思いました。  そこで、再度、福祉子どもみらい局長に伺います。  地域の支え合いの担い手として、言い方は難しいのですが、元気な高齢者、シニア層の参画を促進するために、県としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。  〔福祉子どもみらい局長(橋本和也)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 橋本福祉子どもみらい局長。 ◎福祉子どもみらい局長(橋本和也) 福祉子どもみらい局関係の再質問にお答えします。  高齢者の地域の支え合いの担い手への参画についてお尋ねがありました。  地域の支え合いにおいて、高齢者が支えられるだけでなく、支える側になっていくことは、高齢者が生き生きと暮らし続けるために重要なことと考えます。  県では、高齢者が地域の支え合いの担い手になるための養成研修を実施するとともに、老人クラブの会員が、在宅の独り暮らしの高齢者を訪問し、話し相手になったり、簡単な家事援助を行う友愛チームへの支援を行っています。  高齢者が地域の支え合いの担い手として参画していただけるよう、引き続き取り組んでいきます。  答弁は以上でございます。  〔田中信次議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 田中信次君。  〔田中信次議員登壇〕 ◆田中信次議員 それでは、順次、要望を申し上げていきたいと思います。  順番どおりいこうと思いますが、まずは、説明動画の活用について要望申し上げます。  県民の皆様へ分かりやすくお伝えする技術は年々進化しております。もしかすれば、私の今、言っていることが、10年後には通用しないものになっているかもしれません。  今回、動画についての活用の研究をと質問させていただきましたが、本質的なことは、県民の皆様へ分かりやすい説明方法を常に研究し、提供するということであります。そうすることで、今回の新型コロナウイルスのような突然の事態に、柔軟に対応できる土台ができてくると考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、感染防止対策取組書の活用についてでございますが、新型コロナの感染拡大防止社会経済活動の両立は、大変難しいかじ取りが求められると思います。取組書の活用の拡大をすれば、県は批判される場面も出てくると思います。  報道等で、コロナ禍が原因で、結婚式を解約金数百万円支払いし、キャンセルしたという話を幾つも聞きます。結婚式は、本来であれば、皆様の前で2人の愛を誓い、多くの方々に祝っていただき、参列者はその幸せを快くお分けいただき、時には旧友と久しぶりに再会したりと、楽しく、幸せな行事です。  しかし、コロナ禍の中では、御案内すれば迷惑になるのではないだろうかと新郎新婦は悩み、取りやめてしまうのです。これほどかわいそうなことはありません。結婚式場側は、コロナ対策に万全の体制です。あとは誰かが2人の背中を押してあげることが重要であります。  そして、コロナ禍なのに、何で結婚式をやるのだという責めを受けたのならば、責められるべき対象は新郎新婦ではなく、我々政治家や知事、県行政が身代わりとなり、責めを受けるべきです。  私もコロナは怖いです。批判されることも怖いです。しかし、誰かが一歩を踏み出さねば、感染拡大防止社会経済活動の両立は達成できません。  黒岩知事は、常に、いのち輝く神奈川とおっしゃいますが、その輝きを失わせないためにも、県民一人一人に寄り添い、感染防止対策取組書の活用を武器に、新型コロナウイルスに対して反転攻勢に出ていただくよう要望いたします。  次に、経済活性化に向けたスマートアンプ法簡易パッケージ機器の活用についてです。  スマートアンプ法は、新型コロナウイルスに対して後発の検査方法です。黒岩知事の強調するメリットは、PCR検査では4時間かかるものが、スマートアンプ法では1時間で済むということですけれども、感染拡大防止のための検査であれば、機器を入れ替えてまで導入するメリットというのが、ちょっと薄いのかなという気がいたします。  タイム・イズ・マネーという言葉がありますが、時間的メリットは、経済と相性がよいのではないでしょうか。もしも海外で活躍するビジネスパーソンへの空港内や殿町のような空港の近くにおいて、スマートアンプ法で証明書を出せれば、時間的なメリットを生かせます。  また、先ほど答弁の中にもございました、プロスポーツの選手等に対して行う場合は、結果が出るのに4時間かかってしまえば、メンタル面の負担というのは非常に重く、試合へのパフォーマンスにも影響が出かねません。  来年、オリンピックで、もしも選手への検査が義務化になったようなことが起これば、1時間で済むスマートアンプ法は優れた検査方法だと私は思います。  そして、私は、一番のメリットは、後発ゆえのイメージのなさだと思っております。PCR検査は、感染拡大防止のイメージが強く、経済活動をするための陰性証明の検査という、別方向の二つ目のイメージを同時に有するのは難しいのではないかと考えております。  スマートアンプ法を経済活動のための陰性証明のイメージにすれば、感染拡大防止のPCR検査と、社会経済活動スマートアンプ法検査となり、国民、県民の皆様に分かりやすく伝えられるのではないでしょうか。スマートアンプ法経済活性化へのさらなる活用を要望したいと思います。  続きまして、地域活動への県職員の参加促進についてです。  一定ルールの見直しを図っていただくことは理解いたしました。  職員の皆さんが地域活動に参加することで、けがをしたり、疲労が蓄積したりして、公務に支障が出るおそれもあるため、所属への申請を残すことは適切と考えます。  また、参加可能な活動リストを作成するということの御答弁でしたけれども、分かりやすくてよいものと思いますが、定期的に新たな団体を追加するなど、内容の充実をしていただくようお願いしたいと思います。  また、市町村や各界の団体から要望も出てくるかと思いますが、適切なものは積極的に認めていただくよう要望いたします。  次に、高齢者のセルフネグレクト対策について要望申し上げます。  高齢者のセルフネグレクトは、発見しにくい問題でもございます。市町村の担当であるとはいえ、公助だけの取組では、苦しいのは明らかだと思っております。自助・共助の御協力なしに問題と向き合うのは難しいと考えます。  神奈川県としても、高齢者のセルフネグレクト対策にしっかりと取り組んでいただくよう要望を申し上げます。  次に、災害時の応急給水における県営水道の支援についてです。  災害により、断水が発生した場合、被災者にとって、迅速かつ的確な応急給水が何より重要であります。  そのためにも、給水区域内の市町とは、日頃からの連携が重要であり、災害支援の経験を多く持つ県営水道が、市町の災害時の応急給水体制のさらなる充実について、働きかけていく必要があると考えます。  また、県営水道は、県内の中小の水道事業者にとって頼りになる存在だと思いますので、災害時に県営水道からの支援について、今、企業庁長から答弁頂けたということは、市町村住民の安心につながることだと思っております。  応急給水は、まずは市町村が体制を整えることが第一だと思いますが、県営水道でも、給水区域の内外を問わず、市町村に対して、引き続き、応急給水の支援をしていただくよう要望申し上げます。  最後に、キャリア教育における「仕事のまなび場」の活用についてです。  自分と向き合うことが多い多感な時期だからこそ、今の努力がどのように将来役に立つのかを感じる仕事のまなび場という機会は重要と考えます。  インクルーシブ教育においても、知事も度々、障害者と仕事について、前向きな発言を多くされており、キャリア教育の需要も高まるのではないかと考えます。  また、大学進学を希望する生徒でも、高校のうちから仕事を意識することが重要です。大学での就活時に進むべき道が見つかっておらず、迷うことはよく聞きます。私もそうでした。そして、県内にキャリア教育を独自に行う高校もございますので、サポートすべきだと考えます。  コロナ禍で、財政面でも、県は苦しいと思いますけれども、今後とも、仕事のまなび場を中心としたキャリア教育の充実に向けて、しっかりと取り組むよう要望いたします。  以上、要望を申し上げまして、私の一般質問を終了させていただきます。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕
    ○議長(嶋村ただし) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(嶋村ただし) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は午後1時といたします。                  午前11時23分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和2年第3回-20200916-028727-質問・答弁-すとう天信議員-一般質問①コロナ禍における県政の課題について②県政の重要課題について》                   午後1時   再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共59名 ○副議長(いそもと桂太郎) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(いそもと桂太郎) 質問を続行いたします。  すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕(拍手) ◆すとう天信議員 横浜市都筑区選出のすとう天信です。  議長のお許しを頂きましたので、私は立憲民主党・民権クラブ県議団の一員として、通告に従い、順次質問いたします。  知事、労務担当局長デジタル行政担当局長、福祉子どもみらい局長、産業労働局長県土整備局長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。  また、初めての一般質問となりますので、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  質問の第1は、コロナ禍における県政の課題についてです。  〔資料提示〕  まず、今後想定される「コロナ就職氷河期世代」を対象とした支援について伺います。  戦後最悪と言われる経済状況の中、今後数年にわたり、雇用環境の悪化が想定されます。  〔資料提示〕  現在、県では、基礎自治体等と協力の下、バブル経済後の就職氷河期世代、つまりバブル就職氷河期世代の就労・社会参画支援に力を入れているところですが、コロナ危機により、若い世代を中心とした悪影響は、バブル氷河期を超えるとも想定されることから、新たな就職氷河期世代、言わばコロナ就職氷河期世代の誕生が強く懸念されるところです。  私と同世代であるバブル就職氷河期世代、いわゆるロスジェネ世代に関しては、バブル崩壊後の厳しい雇用情勢の中で就職活動を行い、不本意ながら非正規社員となった方の多くが、40代になっても賃金水準が上がらず、正社員と比べて大きな格差が生じているといった問題から、現在、県としても、かながわ就職氷河期世代活躍支援プラットフォームを設置し、県内の関係機関や団体と連携し、急務として対策を進めているところです。  バブル就職氷河期世代の問題は、雇用や社会保障の側面のみならず、本来であれば、職場、あるいは地域において、その能力を発揮し、多様な領域でリーダーシップを取るべき世代の人材が、十分に能力を伸ばす機会を喪失してしまい、結果として、大きな社会的損失となっているという側面があり、本県においても、新たな就職氷河期世代の誕生は、人材育成の面で、経済や地域に大きな課題をもたらしかねないものと考えます。  こうした世代を生み出してしまった原因として、若い時期における継続的な公的支援の不十分さの指摘もあり、今後、同様の氷河期世代問題を再度生じさせないためにも、行政による一歩踏み込んだ支援の在り方が不可欠であるとも考えます。  コロナ禍の影響により、経済的な落ち込みの回復には、今後、相当の時間を要すると考えられ、これから、その影響に直面する新卒者や若年層が、安定的な就労の困難な、新たな就職氷河期世代とならざるを得ない状況も予測されます。  そこで、県としても、こうしたコロナ就職氷河期世代が生まれかねない状況を的確に認識し、バブル経済崩壊後の就職氷河期世代に対する、当時の県の施策の限界もきちんと検討した上で、具体的な対策を講じていくべきと考えます。  そこで、知事にお伺いします。  コロナ禍で失業した若年層の再就職や、安定的な就労が困難であると予測される新卒者の就職について、今後、どのように支援していこうとしているのか、所見をお伺いします。  〔資料提示〕  次に、緊急時における保育機能の確保について伺います。  今回の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下においても、地域の保育施設は、保育を必要とされる保護者の方々、とりわけ医療従事者やライフラインの維持に不可欠な仕事をしているエッセンシャルワーカーの皆さんの就労を支えるため、事業を継続してきました。  コロナ禍の第一波を通じ、地域の保育施設が、必要不可欠な社会基盤として重要な機能を有していることが、改めて認識されたものと考えます。  一方で、認可保育所を除くその他の認可外保育施設には、当初、保護者に対する十分な補償が行われず、結果として施設の種別により、子供一人一人への緊急支援の質に差が出るなど、現行の保育制度の在り方に由来する課題も多く明らかとなったところです。  〔資料提示〕  特に認可外保育施設に関しては、その後の県の施策もあり、一部で対策が講じられた自治体もありますが、現在までも多くの市町村においては、十分な補償がなされておりません。  今後のコロナ禍の第2波、あるいは第3波に備え、こうした課題にしっかりと対応し、認可、認可外、企業主導型、そして、預かり保育を行う幼稚園など、その地域で保育機能を支える施設間の連携をいま一歩進め、緊急時に地域全体で保育機能を支える体制づくりを進めていくべきではないでしょうか。  現在、保育所等では、登園自粛を解除し、通常どおり子供を預かっているところがほとんどですが、感染者数が高止まりを続ける中、感染者の発生により臨時休園する保育所も増加しており、今後、保護者の就労継続や社会機能の維持にも、影響が出ることが懸念されます。  〔資料提示〕  昨年の大きな台風による被害を受け、県では本年、台風接近に伴う臨時休園措置のガイドラインを作成し、自然災害時の臨時休園の在り方に関しては方針を示し、市町村に対して働きかけをしているところと認識しています。  今後は、このコロナ禍を契機に、長期の感染症蔓延等に伴う臨時休園措置のガイドラインも、あらかじめしっかりと示しておくべきと考えます。  加えて、今後、コロナの蔓延等に伴い、閉園する園が増加した場合に備え、そうした園に通う子供の保育の確保に関して、地域における施設間の協力も必要となってくると考えられることから、地域全体での緊急時の保育機能の確保についての議論も、県のリーダーシップの下、スタートさせていくべきと考えます。  確かに、保育の実施主体は市町村であり、地域によって環境に違いもあることから、市町村が検討すべき課題であることは承知しておりますが、エッセンシャルワーカーが保育を利用できなくなる影響は、広く県内に及ぶこと、また、保育の地域間格差を小さくするという広域自治体としての役割からも、県も積極的に関与し、コロナ禍における保育の神奈川モデル構築を目指していくべきではないでしょうか。  そこで、福祉子どもみらい局長に伺います。  今後、新型コロナウイルス感染症のさらなる蔓延の可能性も踏まえ、緊急時における保育機能の確保について、県として、市町村とどのように対策を講じていくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、ポストコロナ時代を見据えた中小企業・小規模企業支援について伺います。  新型コロナウイルス感染症の拡大に、いまだ収束の見通しが立たず、県内の中小企業・小規模企業へ悪影響が深刻度を増す中、県はこれまで、感染症の影響を受ける中小企業・小規模企業の再起を促進する目的から、非対面型ビジネスモデルの構築の支援や、感染症拡大防止の対策費の補助を行うなど、4月から継続して補正予算を組み、本定例会にも、県内消費喚起対策事業など、経済対策として総額198億円を超える補正予算を計上し、総力を挙げて県内経済の回復に取り組もうとしていることは、承知しています。  特に、コロナ禍でも成長の可能性のある、新たな商品やサービスの開発、販売方式の導入などを支援し、コロナ禍の時代に適した新しいビジネスモデルへの転換を後押しするビジネスモデル転換事業には、当初の県の予測をはるかに超える応募があり、コロナ禍の深刻さとともに、県内事業者の間で、新たなビジネスモデル構築の支援に関し、大きなニーズがあることも明らかになりました。  県としても、こうしたことを受け止め、具体的に支援を進めているものと承知していますが、コロナ禍の影響が長期化の様相を呈する中にあって、今後もビジネスモデル転換へのニーズは高まっていくことも考えられます。  ビジネスモデル転換事業は、国の補助を活用した緊急支援事業であることは承知していますが、コロナ禍を契機とした県内の産業構造の変化なども想定されることから、今後も、中小企業・小規模企業のビジネスモデル転換を、県としても継続的に支援、促進していくべきと考えます。  〔資料提示〕  また、中小企業・小規模企業への支援の重心が、まずは緊急対策にあることは間違いありませんが、コロナ禍の長期化を見越して、こうした継続的な支援の方向性や、ポストコロナ時代の県内産業の在り方を見据えた産業政策について、今の段階から打ち出していくことが重要ではないかと考えます。  これまで県は、中小企業・小規模企業の持続的発展を促進することにより、県経済の活性化を目指す神奈川県中小企業・小規模企業活性化推進計画を、昨年3月に改定しています。  この計画では、六つの重点的取組と、その下に29の取組の基本方向が明記されていますが、当然ながら、現行の計画では、コロナ禍が中小企業・小規模企業に与えている影響などについては考慮されていません。  そこで、産業労働局長にお伺いします。  2019年4月から2026年3月までの7年間を実施期間としている中小企業・小規模企業活性化推進計画について、ポストコロナ時代における中小企業・小規模企業支援をしっかりと進めていくためには、今のうちから見直しを進めていくべきと考えますが、所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) すとう議員の御質問にお答えいたします。  コロナ禍における県政の課題についてお尋ねがありました。  今後想定される「コロナ就職氷河期世代」を対象とした支援についてです。  県はこれまで、若年層を含めた労働者の雇用を維持するため、雇用調整助成金に関する個別相談会を実施し、136社の企業を支援してきました。また、中小企業制度融資による資金繰り支援や感染防止対策等の補助金、プレミアム商品券や県産工業品への支援などを通じて、企業を支え、新規採用や雇用の維持を後押ししています。  しかし、今後の新型コロナウイルス感染症の状況によっては、雇用情勢がさらに悪化することも想定されるため、新卒者の採用を含めた若年層の雇用や、再就職の支援に、一層力を入れていく必要があります。  そこで、コロナ禍における雇用機会の確保等について、本日、私と神奈川労働局長の連名により、県内経済5団体に対し、雇用調整助成金等を活用した雇用の維持と、若者の将来のための新卒者の採用の継続等を要請いたしました。  また、新卒者の就職については、国が、新卒応援ハローワークで支援しています。新卒者以外の若年層については、県が、かながわ若者就職支援センターのキャリアカウンセラーを1名増員し、相談体制を拡充することで、就労支援を強化します。  さらに、県は、職を失った若年層と人手を必要としている企業の合同就職面接会や企業相談会によるマッチングにも取り組んでいきます。  このように、県内企業への様々な経済支援や雇用対策を行うことで、新卒者の就職や、職を失った若年層の再就職を積極的に支援してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔福祉子どもみらい局長(橋本和也)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 橋本福祉子どもみらい局長。 ◎福祉子どもみらい局長(橋本和也) 福祉子どもみらい局関係の御質問にお答えします。  緊急時における保育機能の確保についてお尋ねがありました。  感染症の拡大や自然災害の発生などの緊急時においても、保育の機能を確保していくことは、社会機能を維持していく上で大変重要であると認識しています。  県では、今回の新型コロナウイルス感染症の発生に当たり、保育所が臨時休園となった場合における、医療や介護など、社会生活の維持に必要な事業に従事するエッセンシャルワーカー等の保育の受皿確保について、市町村に検討を依頼してきました。  また、自然災害に関しても、市町村と協働して、本年6月に、台風接近に伴う臨時休園措置のガイドラインを作成し、臨時休園の目安を示すとともに、感染症と同様に保育の受皿確保を市町村に促してきました。  こうした中、本年7月、国から、感染症や災害発生時における保育の課題や考え方を整理した、災害における臨時休園の在り方が通知され、この中でも、市町村は保育の受皿確保を含めた対応を求められています。  しかしながら、児童が慣れない場所で保育を受ける難しさとともに、緊急時の保育の受皿の確保については、保育を必要とする業種等の対象範囲の設定や、安全な保育場所の確保などの課題を解決する必要があり、進んでいないのが現状です。  そこで、県としては、まず、今年度、具体的な検討を始める市町村に県もメンバーとして参画し、地域の状況を踏まえた課題の解決に向けて、市町村や保育関係団体と共に検討していきます。  また、全市町村が参加する保育対策協議会において、こうした取組の情報交換を行うことなどにより、他の市町村への展開を図っていきます。  県では、今後とも、社会生活を維持していく上で、保育所が果たしている重要な役割を踏まえ、緊急時においても必要な保育が確保できるよう、実施主体である市町村と共に取り組んでまいります。  私からの答弁は以上でございます。  〔産業労働局長(山田健司)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 山田産業労働局長。 ◎産業労働局長(山田健司) 産業労働局関係の御質問にお答えします。  ポストコロナ時代を見据えた中小企業・小規模企業支援についてお尋ねがありました。  新型コロナウイルス感染症の影響により、中小企業の多くが売上減少に見舞われる中、生き残りをかけて、事業の大きな転換に取り組む企業も出てきています。  そこで、県は、例えば、自動車部品の製造から医療関係製品への製造へと、ビジネスモデルを転換する際の設備導入経費に対する補助事業を実施しました。この事業には、県の想定6件を大幅に超える229件もの申請があり、事業継続に対する中小企業の強い思いを実感しています。  また、ポストコロナ時代に企業が成長していくためには、デジタルトランスフォーメーションを活用した非接触・非対面型などの事業活動を展開していくことが有効であると言われています。この非接触・非対面型といった視点を、中小企業・小規模企業活性化推進計画にも取り入れていく必要があるのではないかと考えています。  しかし、いまだに新型コロナウイルス感染症が収束しない中、現時点では、本県経済への影響がいつまで続き、どれぐらいの規模に及ぶのかも見通せない状況にあります。  また、県は現在、中小企業の事業継続や消費の需要喚起など、県内経済の回復に向けた対策に全力で取り組んでいる最中です。  そこで、当面は、非接触・非対面型の事業やビジネスモデルを転換する事業に対する支援を含め、来年度どのような施策を講じるべきかを検討していきます。  そして、中小企業・小規模企業活性化推進計画については、かながわグランドデザインの見直しの検討状況も踏まえ、新型コロナウイルス感染症による本県経済への影響を見極めた上で、支援機関等の意見も伺いながら、見直しを検討していきたいと考えています。  答弁は以上です。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 御答弁ありがとうございました。  それでは、2点、再質問させていただきます。  まず、今後想定される「コロナ就職氷河期世代」を対象とした支援についてですが、コロナ禍が長く続く場合、中長期的な経済の落ち込みも想定せざるを得ません。県として、新たにこの問題を専門に検討する会議体を設けるなどし、コロナ就職氷河期世代に対し、中長期的で継続的な支援を検討していくべきと考えますが、知事に所見を伺います。  次に、緊急時における保育機能の確保についてです。  県の取組の方向性は理解いたしました。しかし、現在、県のガイドラインを活用した取組には、保育所以外の全施設が対象とされているにもかかわらず、残念ながら、これまで、認可外保育施設を含む、多様な施設を巻き込んだ事例はないと伺っています。  コロナ禍の第2波、第3波が予想される中、今後、緊急時の保育確保のための地域での施設間の協力を、さらに進めていくにおいては、市町村と共に、地域における多様な種別の施設を巻き込んだ協力体制を目指していくべきと考えますが、福祉子どもみらい局長の所見を改めてお伺いします。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  コロナ氷河期世代に対する中長期的な支援についてのお尋ねでありました。  県では、今年8月に神奈川労働局や産業界と共に、かながわ就職氷河期世代活躍支援プラットフォームを設置いたしました。  ここで、そのコロナ氷河期世代についても、中長期的な支援については、今後、必要に応じて、当会議体を活用して、検討していきたいと考えております。  答弁は以上です。  〔福祉子どもみらい局長(橋本和也)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 橋本福祉子どもみらい局長。 ◎福祉子どもみらい局長(橋本和也) 福祉子どもみらい局関係の再質問にお答えいたします。  緊急時の保育機能の確保に向けては、保育所だけではなく、ベビーシッターやファミリー・サポート・センター事業など、地域の限られた保育資源を有効に活用することが必要でございます。  そこで、保育対策協議会などにおいて、こうした多様な選択肢を含め、検討していくよう市町村に働きかけてまいります。  答弁は以上です。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 御答弁ありがとうございました。  それでは、幾つか要望申し上げます。  コロナ就職氷河期世代に関しては、かながわ就職氷河期世代活躍支援プラットフォームの中で、議論の対象にしていただけるということで、前向きな御回答と認識しております。  自己責任論の下、苦しい働き方を続け、人生の折り返し地点を迎えて初めて、自分たちがどれほど不利益を受けていたかを知る、そんな世代が再び生まれぬよう、問題意識を他の世代にも共有しつつ、コロナ就職氷河期世代への、若い時期からの継続的な公助としての支援を具体化していただけるよう要望いたします。  また、新たに合同就職面接会を行うとのことですが、コロナ禍を受け、多くの求職者がオンラインでの採用面接を希望していると言われることから、マッチング支援に関しては、オンライン採用面接への対応、支援も行うよう、併せて要望いたします。  施設間の連携など、緊急時の保育機能の確保に関しては、前提として、エッセンシャルワーカーなど、保育を必要とされる方々への緊急支援に、施設や地域による格差がある状況は、やはり是正していくべきと考えます。  今後の、コロナ禍の第2波、第3波もにらみ、県の認可外施設への緊急支援の拡充や、対象地域の拡大にも取り組んでいただけますよう、要望いたします。  中小企業・小規模企業への緊急支援に関しては、これまでも常任委員会において求めてきたビジネスモデル転換事業の継続に関して、来年度に向けて検討するという前向きな御回答があり、この点は評価をさせていただくところです。  しかし、いつとも見通せぬコロナ禍の収束を待つことなく、今すぐにポストコロナ社会状況に向けた産業施策の検討をスタートしていただきますよう、加速していただきますように要望いたします。  以上です。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 質問の第2は、県政の重要課題についてです。  〔資料提示〕  まず、横浜市のカジノIR誘致に係るギャンブル等依存症対策についてお伺いします。  コロナ禍の下、カジノ産業は世界的に大幅な減収を続けており、今後、長期的にもその傾向は続いていくとの見方もあります。  こうした状況の変化から、カジノを含む統合型リゾート、いわゆるカジノIRの誘致に関しては、経済的な合理性自体が失われているとも考えられ、私の地元、都筑区をはじめとした横浜市内各地の地域住民から、市に対し、カジノIR誘致の経済効果の客観的見直しと、誘致活動の凍結等を求める要望がなされています。  こうした、地域に暮らす県民の声を受け止め、横浜市都筑区選出の県議会議員として、また、横浜市に育った一人の県民として、コロナ禍を経ての、横浜へのカジノIR誘致に反対する立場から、質問を行います。  横浜市は、先般、新型コロナウイルス感染症等の影響により、整備地域の選定基準などを示す国の基本方針の策定が、事実上、先送りされた状況を受けて、市としても、事業者の公募条件などを定める実施方針の公表時期を延期するとの報道がありました。  横浜市のカジノIR誘致に関して、これまで、知事は、広域自治体である県としては、基礎自治体である市の判断に協力していく立場であるとし、また、県として求められる役割は、ギャンブル等依存症対策と治安対策であるとしています。  そして、現在、県では、神奈川県ギャンブル等依存症対策推進計画の、今年度中の策定に向け、ギャンブル等依存症の実態調査を行うなど、準備を進めているものと承知しています。  〔資料提示〕  カジノIRの誘致については、ギャンブル等依存症者の増加が大きな懸念事項です。県の依存症実態調査におけるギャンブル等依存症が疑われる者の推計値、そして、横浜市の公表しているカジノIR利用者の見込み数を下敷きとした概算においても、莫大な数の依存症者の増が予測され得るところです。  そのため、県計画の策定に当たっては、当然のことながら、カジノIRの誘致が前提となっていると考えられます。  しかし、コロナ禍を受け、横浜市の誘致の先行きが不透明になっている現状においては、依存症者の推計値や、それに基づく治療体制など、対策のスケールが確定し難いため、県計画に及ぼす影響は、非常に大きいと思われます。  そのため、県としては、これまでのカジノIRが誘致された場合の対策の検討に加え、誘致がされなかった場合を具体的に想定し、県計画を策定することが必要不可欠ではないでしょうか。  また、仮に、カジノIRが横浜市に誘致された場合、当然、横浜市内だけではなく、近隣市町村でも、カジノによるギャンブル等依存症者の増加が懸念されます。当然、その悪影響は、各自治体や、そこに暮らす県民の皆様に波及せざるを得ないものと考えます。  広域自治体である県の責任と役割として、横浜市へのカジノIR誘致によって、県内の市町村においても、ギャンブル等依存症者が増加すると見込まれる以上、こうした悪影響をしっかりと予測し、各自治体に対し示し、理解を得ることなく、全県的な計画を策定することは、あり得ないと考えます。  そこで、知事に伺います。  現在の横浜市のカジノIR誘致が行われない場合も想定し、県として、今後どのようにギャンブル等依存症対策に取り組んでいくのか、また、カジノIR誘致に伴い、ギャンブル等依存症患者が増えるおそれがある県内の各市町村と、どのように連携して対策を進めていくのか、併せて所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、行政のDX推進にかかわる「意図せざる結果」への対応について伺います。  新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、官民を問わず、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの推進が加速しています。  DXとは、デジタル技術やデータを駆使し、社会や生活全般の変革を目指す取組と考えられますが、このDXに向けた対応を急ぐ国の方針の下、県でも、産業をはじめとした様々な領域において、そして県行政においても、ICT・データの利活用推進という形で、DXを促進しているものと承知しています。  また、知事においても、Withコロナ、アフターコロナの状況を見据えて、デジタル化を全ての県民による申請手続にまで広げ、内部的にも、全庁横断的にICT・データの利活用推進を通じ、行政のDXをさらに推進していくスタンスと理解しています。  〔資料提示〕  一方、こうしたDXにつながる行政におけるICT・データの利活用推進を、今後、県の業務全域にまで拡大した場合、DXの概念の指し示すところに従えば、これまで人が果たしてきた機能のテクノロジーによる代替により、現在の行政組織や業務形態、そして職員の雇用や働き方などまで、今後、県行政全般への大きな影響、変化は避けられないものであると考えられます。  中でも、特に大きな影響を受けるのは、そこで働く人、すなわち県職員、そして、その人員体制であると考えられます。  人員体制は、組織としての行政の根幹とも考えられ、また、働く人の権利を守ることから考えても、場当たり的な変更は許されないため、県としては、必要な雇用を確保し、働く人の権利を、遵守した上で、DXの推進に伴う必要なマンパワーや、能力の確保のため、配置転換や教育、研修など、必要な組織や人員体制への変更を、計画的に進めていく必要が生じると予測されます。  こうしたことから、県も目指す行政のDX推進の意図せざる結果として、県行政に求められる変化や負担について、しっかりと検討を進め、その対応を提示した上でなければ、これを全面的に進めるべきではないとも考えます。  〔資料提示〕  しかし、こうした変化や負担については、これまで十分議論がされてきたとは言い難いと言えます。  昨年7月に策定された、かながわICT・データ利活用推進計画においても、その位置づけはなく、推進体制の中にも、担当するセクションや責任者が明示されていないことから、今後の計画推進に当たっては、こうしたDX推進の意図せざる結果の影響についても組織的に検証し、対応を検討していく必要があるのではないかと考えます。  そこで、労務担当局長デジタル行政担当局長に伺います。  ICT・データの利活用推進体制において、行政のDXの進展に伴う影響について、検証する部門を設けて検討していくべきと考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、芦の湖の水防災対策について伺います。  本年も各地で台風による被害が発生するなど、近年、豪雨災害等、自然災害の激甚化が大きな問題となっています。  これまで我が会派としては、県に先立ち、気候非常事態宣言の発出と、水防災をはじめとした激化、多発化する自然災害への具体的な対応の強化を強く求めてきた経緯があります。  また、昨年は、台風により、土砂崩れや氾濫等の被害に実際に遭われた県西地域の県民の方々より陳情を頂き、箱根町等の自治体からも直接意見を伺いながら、対策に取り組んできたところです。  県も、かながわ気候非常事態宣言の下、指摘しているとおり、近年の気候変動に起因するとされる自然災害の多発化、激化により、水防災をはじめとした県内の防災対策の見直しが急務となっています。  〔資料提示〕  県内最大の湖である芦の湖に関しても、令和元年東日本台風による浸水被害、下流の早川流域の被害を受け、本年6月、芦の湖にある二つの水門のうち、一つを管理する静岡県裾野市等と協議の下、より早期の放流を可能とするよう、県の管理する湖尻水門の操作方法を見直したものと理解しています。  しかしながら、放流そのものが下流域に対して災害時の大きなリスクとなっていること、そして、これまでにない規模の自然災害の襲来も想定し、一層の防災力強化が必要であることから、芦の湖が立地する箱根町の町民、早川流域の漁業関係者、そして立地自治体である箱根町からも、知事に対して、芦の湖の常時満水位を平素より下げ、芦の湖全体の貯水力を飛躍的に高めることで、下流域に被害をもたらしかねない放流操作に頼らない水位の弾力的な運用による、町民の安全確保を求める要望が提出されていると承知しています。  こうした芦の湖の洪水問題の根本的な解決のためには、貯水量の弾力的な管理が必要とされ、そのためには、関係自治体等との協議が不可欠であると考えます。  加えて、湖尻水門には、災害時を想定した操作規則はあるものの、災害時に深良水門と一体で運用するような規則が設けられていません。芦の湖の防災力のさらなる強化を目指していく上では、静岡県裾野市側の協力の下、両水門を一体的に運用し、防災力の強化を高める体制づくりも重要と考えられます。  そこで、県土整備局長に伺います。  県は今後、地元自治体・町民の声を受け止め、平素の芦の湖の湖水利用に必要かつ、大雨などの緊急事態に十分対応できる水位の弾力的管理や、湖尻・深良の両水門に関する災害時の一体的な運用に向けた体制づくりを、静岡県裾野市側と協議していく必要があると考えますが、芦の湖の水防災対策について、今後どのように進めていくのか、所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題についてお尋ねがありました。  横浜市のIR誘致に係るギャンブル等依存症対策についてです。  ギャンブル等依存症は、誰もがなる可能性があり、また、本人が気づきにくいため、相談や治療につながりにくい病気であることや、本人だけでなく、家族の生活にも支障を生じさせることから、横浜市のIR誘致にかかわらず、県としてしっかり取り組むべき課題であると認識しています。  県では、これまで、リーフレットや動画等による依存症の正しい理解のための普及啓発や、ポータルサイトによる医療機関等の情報提供、相談拠点機関や専門医療機関の選定による相談・医療提供体制の整備に取り組んできました。  さらに、依存症対策は、依存症の発症防止から相談・治療による進行の防止、回復支援と切れ目ない支援を行うことが大切であることから、関係機関と連携して対策を強化する必要があります。  そこで、県では今年1月に、市町村、事業者、医療機関や民間支援団体等の関係機関で構成する協議会を設置しました。  今後は、協議会で事業者等と連携した効果的な普及啓発や、切れ目ない支援体制の構築に向け、医療機関と相談機関、支援団体のネットワークの整備などについて検討し、今年度策定を予定している県のギャンブル等依存症対策推進計画に盛り込み、対策を着実に進めます。  加えて、計画策定後も、計画の進行管理を行う中で、社会環境の変化に応じて取組の充実を図っていきます。  また、依存症の方を増やさない取組を進めるためには、基礎自治体である市町村と連携することが一層重要です。  そこで、今後は、市町村も参加する協議会等で依存症を取り巻く状況について情報共有を図りながら、課題について整理し、市町村と共に普及啓発等の取組を進めていきます。  今後も、依存症対策にしっかりと取り組み、県民の皆様が健康で安心して暮らせる社会づくりを進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔労務担当局長デジタル行政担当局長(河鍋 章)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 河鍋労務担当局長デジタル行政担当局長。 ◎労務担当局長デジタル行政担当局長(河鍋章) デジタル行政関係の御質問にお答えします。  行政のDX推進に係わる「意図せざる結果」と御指摘のあった件についてです。  県では、昨年7月に策定した、かながわICT・データ利活用推進計画において、県民の安全や利便性の向上を図るくらしの情報化と、行政内部の業務全般の効率化を図る行政の情報化の二つの側面から、ICTとデータの積極的な利活用に取り組むこととしています。  そして、この計画を県全体として組織的に実行していくため、知事を本部長とするICT・データ利活用推進本部を設置しています。  かながわICT・データ利活用推進計画に基づき、AIやRPAなど、新たなテクノロジーを活用し、行政の情報化によるDXを推進していく過程では、業務の在り方や職員の働き方などの面で、様々な影響が生じる可能性が想定されます。  こうした影響については、ICT・データ利活用推進本部の下でしっかりと検証し、働き方改革や、迅速で柔軟な組織・執行体制の構築に結びつけていきたいと考えています。  全庁横断的にICTとデータの利活用に取り組む中で、業務の効率化や働き方改革を一層推進し、行政組織の総合力を高め、質の高い県民サービスの提供につなげてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔県土整備局長(上前行男)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 上前県土整備局長。 ◎県土整備局長(上前行男) 県土整備局関係の御質問にお答えします。  芦の湖の水防災対策についてお尋ねがありました。  昨年の令和元年東日本台風では、芦の湖に近いアメダス箱根観測所で、気象庁の国内観測史上歴代1位となる日雨量922.5ミリメートルを観測するなど、県西部を中心に未曾有の豪雨に見舞われました。  県では、湖尻水門を操作し、芦の湖の事前放流を実施するなど、洪水調節を行いましたが、湖の周辺や下流の早川で一部浸水被害が発生しました。  このため、より被害の軽減につながる水門の操作方法について、関係自治体の静岡県裾野市や箱根町と協議を進めた結果、気象台の降雨予測に基づき、これまでより24時間早い段階から事前放流を行うこととし、6月から運用を開始しました。  しかし、近年、予測が難しい線状降水帯などによる豪雨が頻発していることから、例えば、浸水被害の危険性が高まる出水期には、芦の湖の平時の水位をこれまでより低くして備えておくなどといったことも、検討する必要があると認識しています。  また、静岡県芦湖水利組合の取水施設である深良水門は、洪水対策としての水門操作は原則行わないこととされていますが、湖尻水門と連携して、洪水調節のために活用していただくことも、被害軽減につながる有効な取組だと考えています。  一方、出水期における平時の水位低下は、安定的な取水への影響や、観光など湖面利用への影響などを考慮する必要があり、また、洪水調節に関する二つの水門の連携には、水利組合や関係自治体の十分な理解を得ることが不可欠です。  そこで、こうした課題を検討していくため、まずは、裾野市など関係自治体と協議する場を新たに設けたいと考えています。  今後、関係者との協議を進め、芦の湖周辺や早川における浸水被害の軽減に向けた水防災対策に、しっかりと取り組んでまいります。  答弁は以上です。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 知事、労務担当局長デジタル行政担当局長県土整備局長、御答弁ありがとうございました。  それでは、1点、再質問させていただきます。  横浜市のカジノIR誘致に係るギャンブル等依存症対策についてです。  県としては、啓発や支援体制づくりを進め、それ以外のことに関しては、今後の見直しの中で検討していくというお答えと理解いたしました。  ただ、県の推進計画の策定は、横浜市への誘致の決定に先立つことから、各市町村との連携を進めるに当たっては、少なくとも、カジノIRの誘致によって、横浜市を除く各市町村並びに、そこで暮らす県民に対しても、ギャンブル等依存症者の増加といった大きな悪影響があり得ることをしっかりと明示した上で、県計画への理解を求めることが不可欠ではないかと考えます。  それが、広域自治体である県としての責任ある姿勢であると考えますが、改めて知事の所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  ギャンブル等依存症は、ギャンブルにのめり込むことで、誰もがなる可能性がある病気です。このことを県民の皆様に正しく知ってもらい、依存症にならないよう対策を行うことが、広域自治体である県としての責任ある姿勢だと考えています。  そこで、県では、市町村等の関係機関と連携し、依存症についての普及啓発を進めていきます。  また、ギャンブル等依存症対策推進計画の策定に当たりましては、協議会や県、市町村の会議を活用した情報提供を行い、また、パブリックコメント等を実施するなどして、市町村や県民の皆様の御意見を伺いながら、策定を進めてまいりたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔すとう天信議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) すとう天信君。  〔すとう天信議員登壇〕 ◆すとう天信議員 御答弁ありがとうございました。  それでは、幾つか要望申し上げます。  まず、カジノIRに係るギャンブル等依存症対策に関してです。  既に横浜市と連携し、全県の実態調査も完了していることですから、横浜市以外の市町村にもたらされるギャンブル等依存症の増加といった、カジノIR誘致の悪影響については、今後しっかりと悪影響のスケールを推計し、速やかに市町村に対して示していくよう、改めて要望いたします。  DX推進の県行政への影響に関しては、まさにこの場にもいらっしゃる県職員の皆様の将来に関わることですので、知事として、推進と同時に、そうしたDXの言わば負の側面にも目を向け、しっかりとした体制を確立していただくよう要望いたします。  そして最後に、芦の湖の水防災に関してです。  今後に向けた協議の場を設けていくということで、非常に前向きな御意見というふうには受け止めさせていただきました。  歴史的な経緯もあり、大変難しい課題とは理解するところですが、災害の脅威に直面する自治体並びに住民の方々が要望しているのは、常時満水位の変更を含む検討ですので、そうした地域の思いをお受け止めいただいた上で、進めていただくように要望いたします。  以上をもちまして、私の初めての一般質問を終わります。  御清聴、どうもありがとうございました。                               〔拍 手〕 △《本会議録-令和2年第3回-20200916-028728-質問・答弁-渡辺ひとし議員-一般質問①災害時の帰宅困難者対策について②県立がんセンターにおけるがんゲノム医療の対象者拡大の取組について③住宅セーフティネットの強化について④特殊詐欺被害者からの相談体制の充実について⑤老朽化マンション対策について⑥高等学校奨学金制度について⑦教育活動を支援する人材バンクについて》   〔副議長退席、議長着席〕  〔渡辺ひとし議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 渡辺ひとし君。  〔渡辺ひとし議員登壇〕(拍手) ◆渡辺ひとし議員 議長のお許しを頂きましたので、私は公明党神奈川県議会県議団の一員として、通告に従い、順次質問いたします。  知事並びにくらし安全防災局長県土整備局長、教育長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、久しぶりの一般質問となりますので、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  我々公明党県議団にも、県民の皆様などから多くの相談や要望が寄せられています。喫緊の課題は新型コロナウイルス対策関連ですが、それ以外にも様々な立場の方々から切実な思いを承っています。  その思いを真摯に受け止め、私からは、県民の皆様の暮らしの安全・安心に資する取組について質問させていただきます。  質問の第1は、災害時の帰宅困難者対策についてです。  地震のような、いつ起こるか分からない、予想が難しい災害が発生した場合、電車、バスなどの公共交通機関の運行停止などにより、自宅に帰れなくなる人が多く発生することが予想されます。  実際に、東日本大震災発災後、企業の従業員が職場にとどまることなく、都心部から居住地に向けて一斉に帰宅行動をとった結果、鉄道駅周辺や路上に膨大な滞留者が発生し、応急対応活動の妨げとなるなど、混乱が生じました。  先般、帰宅困難者対策について、都市防災を研究されている東京大学大学院の廣井准教授に話を聞く機会がありました。廣井准教授がビックデータを活用して、これまでの帰宅困難者対策の取組を分析、評価したところ、都市部における災害直後の、なるべく帰らないという対策が重要な防災対策であるとのことでした。  また、企業自ら実施する取組が進んでいないとのことで、帰宅困難者対策を、企業にいかに浸透させていくかが重要であると改めて認識しました。  本県においては、災害時の帰宅支援ステーションの協定締結など、対策を進めていることは承知していますが、企業における帰宅困難者対策を促進する取組については、連携企業向けのチェックシートの配付程度にとどまっています。また、どの程度の企業が対策を講じているのか、把握もされていない状態です。  多くの企業があり、近隣県からの通勤・通学者が多い東京都では、帰宅困難者対策を特出しにして条例を作成し、この条例に基づく対策を進め、帰宅困難者対策に取り組んでいる企業の認証制度も制定し、取組企業の把握も行っています。  本県においては、東京都はじめ県外へ通勤・通学する県民が多くいる一方で、横浜、川崎などに通勤・通学する県民も多いことから、県内企業による帰宅困難者対策の取組について、さらに進めていくことが重要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  企業における大規模災害時の帰宅困難者対策の取組促進について、県はどのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  質問の第2は、県立がんセンターにおけるがんゲノム医療の対象者拡大の取組についてです。  がん医療において、最も進展が期待されるものの一つが、多数の遺伝子の変異を一度に調べる遺伝子パネル検査を行い、一人一人に合った最適な治療につなげるという、がんゲノム医療です。  我が会派は、早くからこのがんゲノム医療に注目し、私自身、平成31年の代表質問で、がんゲノム医療提供体制の充実強化と県内への普及を訴えました。  こうした中、昨年6月、遺伝子パネル検査は保険適用となり、さらに9月には、県立がんセンターが、国の新たながんゲノム医療の推進体制である、がんゲノム医療拠点病院に指定されました。  それまで県内の病院は、単独では、がんゲノム医療の全てのプロセスを行うことはできませんでしたが、県立がんセンターが拠点病院となったことで、遺伝子パネル検査からデータ分析、最適な治療法の選択まで、全てが実施できるようになりました。  これにより、本県のがんゲノム医療推進に大きく弾みがついたことは高く評価していますが、今後は、いかに多くの患者の方々に、この治療を提供できるかが鍵となります。  ところで、現在、この治療の対象となるのは、標準治療の効果がない方や希少がんの患者などに限られており、がんと診断されたら、すぐに遺伝子パネル検査に基づく治療が受けられるわけではありません。  標準治療の一つである抗がん剤治療は、多くの患者の方々が通院により受けていますが、副作用のため、仕事や日常生活に影響が出ている方々もいます。こうした方々に、治療の初期段階から遺伝子の情報に基づく最適な治療薬を選ぶことができれば、副作用も少なく、治療の効果も期待できます。  がんゲノム医療のさらなる発展が待たれるところですが、県立がんセンターにおいても、こうした初期段階での治療をはじめ、先進的な研究により一層取り組むべきと考えます。  さらに、多くの患者が治療を受けるために、日頃は身近な地域の病院で治療を受けながら、必要な場合には速やかにがんセンターで遺伝子パネル検査を受け、その後はまた身近な病院で治療が受けられるような体制の整備が必要です。  そのためには、県立がんセンターが、がんゲノム医療の拠点として、また、都道府県がん診療連携拠点病院として、率先してがんゲノム医療の検査実施体制を強化し、県内への普及の牽引役となるべきであると考えます。  そこで、知事に伺います。  県立がんセンターでは、がんゲノム医療の初期治療での実施と県内への普及に向けて、どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  質問の第3は、住宅セーフティネットの強化についてです。  新型コロナウイルス感染拡大の影響により、製造業や宿泊業を中心に失業者が増えており、雇用情勢が急速に悪化しつつあります。  思い返せば、今から12年前、リーマンショックに端を発した世界的な経済不況により、ネットカフェ難民や年越し派遣村など、低所得者の住宅問題がクローズアップされ、大きな社会問題となりました。  今回のコロナ危機による経済への影響は、リーマンショックを上回るとも言われており、住宅困窮者を支える住宅セーフティネットの機能をさらに強化し、この危機を乗り越えていく必要があります。  我が国の住宅セーフティネットは、これまで公営住宅が中核的な役割を担ってきましたが、将来の人口減少等により、その大幅な増加は見込めない状況にあります。  そのため国は、平成29年に住宅セーフティネット法を改正し、増加傾向にある民間の賃貸住宅の空き家を活用して、高齢者や障害者など、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅を県などが登録し、要配慮者に提供する新たな制度を創設しました。  私は平成30年の代表質問で、この制度の促進を図るべきと質問させていただき、その後、県は、要配慮者の入居を拒まない住宅、いわゆるセーフティネット住宅の供給目標や、要配慮者への居住支援の取組など、必要な施策をまとめた賃貸住宅供給促進計画を平成31年3月に策定しました。  そして、制度が始まって約3年が経過するところですが、全国的に登録戸数が伸び悩む中、本県では、出足は遅れたものの、個別事業者への登録の働きかけなどにより、登録は順調に進んでおり、先月末時点において、既に今年度末の登録目標である800戸を大きく上回る成果を上げていると聞いております。  この県の取組については評価していますが、コロナ禍の中、雇用情勢の悪化はしばらく続くものと思われ、計画を前倒ししてでも、さらに登録住宅を増やしていく必要があると考えます。  不動産関係団体からは、バブル期に建てられた賃貸のワンルームマンションに空きが多く、物件が余っているが、活用できていないという話を聞きます。  こうした物件も含め、空き家のストックを最大限に活用するという視点から、これまでの取組を改めて検証し、セーフティネット住宅の登録基準を緩和するなど、制度運用の見直し等について検討を行い、住宅確保要配慮者のための住宅を可能な限り確保していく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  住宅セーフティネットの強化に向け、空き家の有効活用を図り、住宅の登録をさらに促進するため、今後どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  質問の第4は、特殊詐欺被害者からの相談体制の充実についてです。  面識のない不特定の市民をターゲットにして、主に家庭の固定電話に、様々なだましの手口を用いた電話をかけ、現金やキャッシュカードをだまし取る特殊詐欺の被害は後を絶たない状況です。  警察では、取締りの強化や、行政や民間事業者と連携した予防策など、様々な対策を講じていることは承知していますが、昨年の県内における被害総額は約54億円に上り、認知件数は過去最高を更新する約2,800件になったと聞いています。  特殊詐欺については様々報じられていますが、その卑劣な犯罪により、人生を狂わされ、孤立し、苦悩を深める被害者が存在することについては、あまり報道されていません。  私が最も心を痛めるのは、被害者の8割強を70歳以上の高齢者が占めるという点です。被害者は、一瞬にして、老後のためにこつこつと築いた大事な財産などを奪われ、絶望のふちに落とされます。  このような犯罪は、同じ人間として断じて許せません。まして、被害者は決して責められるべきではないにもかかわらず、被害を恥と感じ、身内にさえ事情を打ち明けられず、独りで悩み苦しんでいる人も多くいるのではないかと危惧するところです。  私自身、こうした被害者から相談を受けることもありますが、その実情を知るにつけ、毎年多くの被害者が出ていることを踏まえ、特殊詐欺の被害者が相談しやすい環境をつくり、必要な支援に速やかにつながることが必要であると強く思うところです。  こうした被害者の支援は、行政、中でも市町村が主体となることは承知していますが、県としても、支援の主体につなぐ相談の窓口の充実や周知など、早期の被害者支援につながる体制整備に努めるべきと考えます。  そこで、くらし安全防災局長に伺います。  特殊詐欺の被害者が、その初期の段階において相談できる体制を充実させるべきと考えますが、御所見を伺います。  質問の第5は、老朽化マンション対策についてです。  老朽化によって外壁が剥落するなど、居住者や周辺住民に危険を及ぼすおそれのある分譲マンションが近年社会問題になっています。  国土交通省の調査によると、今後、こうした老朽化マンションの急増が見込まれており、適切に修繕されずに老朽化が進むと、大きな事故につながりかねず、その対策が急務になっています。  一方で、建物の老朽化と同時に居住者の高齢化も進んでおり、管理組合の担い手不足や空き家の増加など、様々な問題が顕在化しつつあります。  管理組合の運営が困難となると、大規模修繕や建て替えが進まず、空き家が増えるとともに、やがてはスラム化するマンションが増え、居住者のみならず、周辺の住環境にも深刻な影響を及ぼすおそれがあります。  こうした、いわゆる二つの高齢化への対応は、全国、そして本県においても喫緊に取り組むべき課題です。  分譲マンションは、基本的に、そこに住む区分所有者の私有財産ですが、将来のまちづくりにも大きな影響を与えかねないことを鑑みると、マンションの管理について、行政としても積極的に関与していく必要があると考えます。  多くのマンションが集中する東京都では、良質なマンションストックの形成等を図るため、東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例を制定し、令和2年4月から、老朽化したマンションを対象として、管理組合による管理状況の届出制度をスタートさせたところです。  こうした中、今般、令和2年6月に、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、いわゆるマンション管理適正化法と、マンションの建替え等の円滑化に関する法律、この二つの法律が改正され、マンション管理における行政の役割の強化や、マンションの再生の円滑化などが図られました。  特に、マンション管理適正化法の改正では、国がマンション管理の基本方針を策定し、これを踏まえ、町村部については県が、市域については市がマンション管理適正化推進計画をつくり、管理組合に対して必要な助言、指導が行えるようになったと承知しています。  また、管理組合が作成する管理計画を認定する制度も新たに創設され、現在、国において、認定物件に対する税制上の優遇措置なども検討されていると聞いています。  今回の法改正は、マンションが抱える二つの高齢化の問題に対し、国や地方自治体が本格的に取り組む第一歩として、大変意義があるものと受け止めています。  そこで、県土整備局長に伺います。  今回のマンション管理適正化法の改正を受け、老朽化マンション対策について、県として、今後どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  質問の第6は、高等学校奨学金制度についてです。  新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、経済・雇用状況が悪化しています。このような経済状況下においては、県民の皆様、ひいては、高校生等の保護者の皆様方の生活環境も、多分に影響を受けているのではないかと推察します。  こうした状況の中、県においては、高校生等の学習支援等のため、高等学校奨学金や高等学校等就学支援金などの就学支援制度を設け、支援に取り組んでいると承知しています。  中でも、高等学校奨学金制度については、これまでも我が会派から様々提言させていただいており、きめ細かな仕組みを築き上げていると評価しています。  その一つは、短期臨時奨学金の創設です。  これは中学3年生のときに、金銭的な理由により進路選択の幅を狭めることなく、生徒の学習意欲に基づく進路の選択ができるように、高校入学前に支援する制度です。  また、成績に関係なく学ぶ意欲にあふれた生徒のために貸し付けることができように成績要件の廃止や、生徒が借り過ぎないように貸付金額の細分化や加算制度の創設など、生徒、保護者の皆様方の生活環境に応じた提案をさせていただき、その都度、制度の改正に知恵を絞って、より使いやすくなるよう見直していただきました。  しかし、高等学校奨学金は、社会情勢や時代に即した制度となるよう、不断の見直しが必要です。  そのためには、例えば、貸付要件である年収800万円未満とされている所得要件を緩和することや、加算制度について、現在設定されていない低所得を理由とした加算要件についても、検討が必要と考えます。  また、成年年齢を20歳から18歳に引き下げることなどを内容とする民法の一部改正が行われ、令和4年4月1日から施行されることとされており、この改正を踏まえた検討も必要と考えます。  そこで、教育長に伺います。  高等学校奨学金制度については、生徒の皆さんがより利用しやすいように、経済環境、生活環境が変化していく中で、常に、より時代に即した制度となるよう見直す必要があると考えますが、今後の奨学金の在り方について、どのように考えるのか、御所見をお伺いします。  質問の最後は、教育活動を支援する人材バンクについてです。  本県において、学校の教育活動を支援する人材を紹介する取組として、地域人材などの申請に基づく登録者を、県立高校、中等教育学校を対象に紹介するハイスクール人材バンクという仕組みがあります。  この仕組みは、特別講師や学校支援スタッフ、サポートティーチャーとして、高校等で活動してくださる方が登録し、学校の教育活動を支援していただくものです。  こうした方々に支援していただくことで、地域にある多様な教育力の活用と生徒一人一人へのきめ細かな支援につながるとともに、教員の業務負担軽減に効果を上げていると承知しています。  学校を支援する、こうした人材バンクは、高校だけでなく、小学校、中学校などの義務教育の段階でも効果があると考えます。  一方、同様の取組として、東京都教育委員会では、昨年度、一般財団法人として東京学校支援機構を設立しました。  この財団では、都内の公立の小・中・高、特別支援学校全ての校種の教職員の事務支援や、子供たちの学習支援、部活動支援などを行ってくれる地域の方を募集して、一元的にサポーターバンクとして登録する取組を行っています。  各学校からは、子供たちの学習の充実を図るために大変効果があるといった評価を得ていると承知しています。  現在、県内の市町村では、人材の確保を市町村や学校ごとに、そして部活動や日本語指導など、支援の内容ごとに行っていると承知しています。そのため、各学校のニーズに応じた人材の確保は難しく、また、学校を支援しようという気持ちのある方にとっても、直接、学校に声をかけていくということは、なかなか難しいのではないかと推察します。  小中学校への配置や派遣は、設置者である市町村教育委員会が行うこととしても、より広域的に、かつ効率的に人材を確保するためには、県教育委員会としても、市町村教育委員会を支援する仕組みをつくっていくことが有効ではないかと考えます。  国は本年4月に、コロナ禍後の学校再開に向けて、各地域において、学校等をサポートしていただける人材が必要になる機会が多くなるため、学校等が必要な人材をすぐに探すことができるよう、学校・子供応援サポーター人材バンクを開設したと承知しています。県としても、これらの取組が必要と考えます。  そこで、教育長に伺います。  今後の市町村における学校の教育活動を支援する人材を確保するために、県教育委員会としてどのように考えているか、御所見を伺います。  以上で、第1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 渡辺議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、災害時の帰宅困難者対策についてお尋ねがありました。  多くの県民の皆様が、公共交通機関を利用して県内外に通勤・通学している本県において、大規模災害が発生した際の帰宅困難者対策は、大変重要な課題であります。  県では、首都直下地震が発生した際に、約61万人の帰宅困難者が発生すると見込んでいます。この方々が一斉に帰宅すれば、駅周辺や路上に多くの滞留が生じ、応急活動の妨げとなるだけでなく、二次災害のおそれも生じます。  そこで、県では、こうした共通の課題を抱える九都県市と連携して、一斉帰宅を抑制するため、発災時はむやみに移動しないことを啓発しています。  具体的には、九都県市のホームページ-防災首都圏ネットで、個人や企業が帰宅困難に備えるための情報を提供するほか、共通のリーフレットを作成し、広く首都圏の企業に配布してきました。  また、県内3政令市と連携して、独自に企業向けの帰宅困難者対策チェックシートを作成し、出勤や帰宅時に災害が発生した際の対応ルールなど、県内の企業が自ら点検できる取組も進めています。  こうした中、現在、新たに新型コロナウイルス感染症と自然災害が重なる複合災害への対応が求められています。滞留によって生じる密を避ける観点からも、これまで以上に一斉帰宅の抑制を図る必要があります。  そこで、県は、今後、チェックシートを踏まえ、積極的に帰宅困難者対策に取り組んでいる県内企業の情報を収集し、県のホームページなどで広く紹介することで、企業における取組を促していきたいと考えています。  県としては、こうした取組について、速やかに県内3政令市と調整し、大規模災害時における企業の帰宅困難者対策を、さらに促進してまいります。  次に、県立がんセンターにおけるがんゲノム医療の対象者拡大の取組についてお尋ねがありました。  がんゲノム医療は、多数の遺伝子変異を調べることで、一人一人の状況に応じて、最適な治療薬を選ぶことができる最先端の医療として、さらなる発展が期待されています。  県立がんセンターでは、全国的にも早い時期から取組を進め、昨年9月からは、がんゲノム医療拠点病院として、県内4か所の連携病院とともに、がんゲノム医療を提供する体制を整えました。  今後は、治療の初期など、より早い段階から、一人一人に最適ながんゲノム医療を、県内どこにいても受けられるようにすることが必要です。  現在、この医療の対象は、標準治療を終了した方などに限定されていますが、標準治療のより早い段階から提供する研究を、国立がん研究センターが本年度からスタートさせています。  県立がんセンターでも、この研究の成果や国の動向を注視するとともに、こうした初期からの治療方法が確立された場合に、迅速に対応できるよう、遺伝子変異を検査する体制などを強化してまいります。  また、初期からの治療の効果を高めるためにも、様々な遺伝子変異に適合した抗がん剤の開発が必要です。このため、県立がんセンターでは、臨床研究や治験を積極的に推進し、治療効果の高い抗がん剤の開発を目指していきます。  さらに、がんゲノム医療の県内への普及に向け、県立がんセンターでは、県内31か所のがん相談支援センターを通じて、対象となる患者や受診手続等について周知していきます。  そのほか、がんゲノム医療を実施する連携病院を拡大していくなど、地域の医療機関との連携強化を図ります。  県立がんセンターでは、より多くの県民の皆様が、必要なときに迅速にがんゲノム医療を受けられるよう、拠点病院として体制の充実強化を図り、本県のがんゲノム医療を牽引してまいります。  最後に、住宅セーフティネットの強化についてお尋ねがありました。  県は、民間賃貸住宅の空き家を活用して、高齢者など、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティネット住宅を安定的に供給するため、平成29年度から、要配慮者の方々に広く、空き家の情報を提供しています。  これまで県は、賃貸住宅をお持ちの家主に、セーフティネット住宅として登録していただけるよう、県行政書士会などの関係機関とともに、登録手続の代行などの支援を行ってきました。こうした取組により、先月末現在で約1,800戸の住宅を登録していただきました。  このセーフティネット住宅の登録基準は国が定めており、床面積25平方メートル以上とされていますが、この登録基準は、地方公共団体が地域の実情に応じて独自に緩和することができるとされています。  現在、県内の民間賃貸住宅の空き家は約9万戸あり、このうち床面積が25平方メートル未満の空き家は約3万8,000戸で、空き家全体の約4割となっています。  県としては、この25平方メートル未満の空き家を、セーフティネット住宅として活用できれば、比較的家賃の安い住宅をより多くの要配慮者の方々に提供できますので、登録基準を下げる検討が必要だと考えています。  そこで、県は、学識経験者や福祉関係者等で構成される、県住宅政策懇話会の場を活用して、御意見を伺いながら、登録基準の緩和についての検討を始めます。  県としては、今後とも、空き家の有効活用などにより、セーフティネット住宅の登録を促進し、住宅に困窮する要配慮者の方々が安心して暮らせる住宅をより多く確保することで、住宅セーフティネットの強化を図ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔くらし安全防災局長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 花田くらし安全防災局長。 ◎くらし安全防災局長(花田忠雄) くらし安全防災局関係の御質問にお答えします。  特殊詐欺被害者からの相談体制の充実についてお尋ねがありました。  特殊詐欺は、貴重な財産を奪い去るばかりか、あってはならないことですが、家族から責められたり、地域に出られなくなるなど、被害者を精神的に追い詰めかねない悪質な犯罪です。そのため、こうした被害者からの相談に応じ、必要な支援を行うことは大変重要です。  県では、犯罪被害者に寄り添った支援を行うため、平成21年に、県、県警察、NPOの3者から成る、かながわ犯罪被害者サポートステーションを設置し、電話相談やカウンセリングなど、きめ細かな対応を行っています。また、県内全ての市町村でも、犯罪被害者の相談窓口を設けています。  昨年度、県のサポートステーションには、約1,000件の相談がありましたが、そのうち、詐欺等に関するものは約50件と、決して多くありません。  そこで、県は、被害者が早期に必要な支援を受けられるよう、サポートステーションなどが、特殊詐欺を含めて相談に応じていることを、ホームページをはじめ、県警察や関係団体等の協力を得ながら、しっかりと周知していきます。  また、特殊詐欺の被害者が抱える悩みや相談に、適切に応じられるよう、被害者支援のためのハンドブックを充実し、サポートステーションや市町村で相談に当たる職員の対応力を、これまで以上に向上させていきます。  県としては、引き続き、県警察等と連携し、まずは特殊詐欺に遭わないための対策を全力で進めるとともに、万一、被害に遭われた場合には、初期の段階から相談できる体制を充実し、被害者の気持ちにしっかりと寄り添ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔県土整備局長(上前行男)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 上前県土整備局長。 ◎県土整備局長(上前行男) 県土整備局関係の御質問にお答えします。  老朽化マンション対策についてお尋ねがありました。  本県では、約78万戸ある分譲マンションのうち、約12万戸が築後40年を超えており、今後、老朽化マンションが急速に増加する中、個々のマンションの老朽化対策を担う管理組合の機能を維持する必要があります。  こうした中、国は今年6月、マンションの管理の適正化の推進に関する法律を改正し、適正なマンション管理を行うよう、町村の区域については県が、市の区域については市が、管理組合に対して直接、助言・指導できるようになりました。  この改正により、県や市は、管理の適正化に関する施策等を定めたマンション管理適正化推進計画を策定できるようになります。この計画に基づき、管理組合が作成したマンション管理計画が一定の管理水準を満たせば、県と市は、優良な管理計画を持つマンションとして認定できます。  管理組合は、認定を受けることにより、優良なマンションとしての市場価値が高まるメリットがあるので、県としては、こうした取組が広がれば、県内のマンション全体の管理水準の向上につながると考えています。  そこで、県は、町村におけるマンション管理を円滑に進めるため、マンション管理適正化推進計画を令和3年度に策定します。  また、市におけるマンション管理を円滑に進めるため、県と市町村で構成する実務者会議の場を活用して、法改正に関する情報提供を行うなど、各市の計画策定を支援します。  県としては、こうした取組を進めることにより、マンション全体の管理水準の底上げを図り、安全で安心な住まいに暮らせるよう、老朽化マンション対策にしっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  高等学校奨学金制度についてです。  高等学校奨学金は、経済的な課題を抱えながらも、学ぶ意欲のある高校生等に対し、貸付けにより就学への支援を行い、教育の機会を保障するという重要な役割を果たしています。  この奨学金制度は、これまでも、平成28年度には、貸付金額を細分化したり、返還金の免除制度を変更するなど、社会経済状況の変化に応じて見直しを行ってきました。これらにより、給付型の奨学金が充実してきている中にあっても、現行制度の下で、毎年2,000人以上の高校生等に貸付けを行っています。  こうした中、令和4年4月1日からは、民法改正に伴い、成年年齢が18歳に引き下げられる予定です。  また、コロナ禍の収束が見通せない中、経済状況の変化に伴い、現時点でも、家計急変による奨学金の申請が、前年度より20件程度増加しています。  奨学金は、こうした社会制度や経済状況の変化にかかわらず、高校生等が安心して借りることができ、着実に完済できるものであることが重要です。  県教育委員会では、このような奨学金の在り方を踏まえ、この制度が現状において有効なものとなっているか、利用しやすいものとなっているかなどをしっかりと検証し、必要に応じて、見直していくべきと考えております。  そこで、本年度中を目途に、現行の奨学金制度について、成年年齢の引下げも見据えながら、保護者の皆様や生徒等から御意見を伺うなどして、その有効性や課題について検証してまいります。  次に、教育活動を支援する人材バンクについてです。  公立小中学校では、登下校の見守り活動や、部活動における指導補助など、日常的に多くの地域の方に御協力いただき、教育活動を進めています。  このような地域の人材の確保や活用については、学校や市町村教育委員会が、それぞれの地域の実情等に応じて行っています。  こうした中、国は、このコロナ禍において、学校・子供応援サポーター人材バンクとして、学校への支援を望む方が、国のホームページに直接登録する仕組みを緊急的に整備しました。  この人材バンクには、これまで約1,700名の方が神奈川県の勤務希望者として登録されています。  現在、県教育委員会では、国が随時取りまとめる登録者情報を、市町村教育委員会に提供し、その活用を促しており、小中学校を支援するための人材確保に、効果が見込まれています。  そこで、お尋ねの市町村における人材確保への支援ですが、県教育委員会では、まずは、この、国の人材バンクを、より有効に活用できるものとしていきます。  具体的には、この人材バンクの仕組みを、県公立小・中学校校長会や県PTA協議会、大学などを通じて、全県的に周知を図るとともに、小中学校を支援していただける人材のさらなる登録、活用を促進していきます。  その上で、緊急的とされる国の人材バンクが終了した場合には、県において、このような人材バンクの仕組みを新たに設けることができないか、市町村教育委員会ともよく相談しながら検討してまいります。  以上でございます。  〔渡辺ひとし議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 渡辺ひとし君。  〔渡辺ひとし議員登壇〕 ◆渡辺ひとし議員 知事並びにくらし安全防災局長県土整備局長、教育長におかれましては、御答弁を頂きまして、ありがとうございました。  それでは、1点、教育長に再質問をさせていただきます。  再質問は、高等学校奨学金制度についてであります。  今年度ということですが、検証の結果、制度改正を行う場合には、来年度には制度改正を検討していく必要があると思いますが、成年年齢の引下げが令和4年実施であることを踏まえた上で、また、奨学金制度の周知は、通常、前年度の秋頃には行われますので、その点を踏まえると、令和3年の秋までには制度改正が必要と考えますが、どのようなスケジュール感で検討を行うのか、伺いたいと思います。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 渡辺議員の再質問にお答えいたします。  検証の結果によりますが、奨学金制度を見直すとした場合は、中学3年生の進路選択にも少なからず影響を与えますので、十分な周知期間が必要と考えております。こうしたことも、スケジュール感として念頭に置きながら、今年度検証してまいります。  以上でございます。  〔渡辺ひとし議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 渡辺ひとし君。  〔渡辺ひとし議員登壇〕 ◆渡辺ひとし議員 再答弁ありがとうございました。  その上で、まず要望させていただきます。  高校奨学金制度については、その原資が貸付けの返済金から成っております。県財政が厳しい中でも、一般財源の負担を抑えつつ、工夫、改善ができると思います。  経済環境や生活環境が変化している中で、所得要件の緩和や低所得世帯に対する貸付金額の加算要件等の制度改正は非常に重要です。不断の見直しをしっかり検討することを、強く要望させていただきます。  それでは、時間の許す限り、その他、意見、要望を申し上げます。  まずは、災害時の帰宅困難者対策についてです。  取組企業を把握するためにも、企業をホームページで紹介する取組は重要だと思います。ただ、その取組がこれからであるということは、遅過ぎると言わざるを得ません。早急に取組をスタートさせるべきです。その上で、その後の進捗管理と取組企業の拡大にも、しっかり取り組んでいただきたいことを要望します。  次に、県立がんセンターにおけるがんゲノム医療の対象者拡大についてです。  がんゲノム医療の初期対応については、まだまだスタートしたばかりで、適応治療薬の選定制度などに課題がありますが、ここで、国立がんセンターで臨床研究がスタートしたとの報道があり、今後の取組への期待が高まっています。  県内がんゲノム医療の普及並びに連携拡大を図るとともに、がんゲノム医療の初期対応についても、早期の実現に向け、積極的に取り組むことを要望いたします。  次に、住宅セーフティネットの強化についてです。  さらなる市町村窓口やハローワークへの周知に努めるとともに、登録戸数の拡充に取り組んでいただくよう要望します。  特に、先ほど御答弁でもありましたが、この基準の緩和については非常に重要な取組だと思います。住宅の有効活用と登録戸数拡充のため、早急な検討を要望させていただきます。  次に、特殊詐欺の被害者支援の取組についてです。  毎年、多くの被害者が出ていることに心が痛みます。一日も早く被害者の方々に寄り添い、少しでもサポートできる相談窓口の体制整備を図るとともに、県民への周知をしっかり図るよう要望いたします。  特に、被害後、最初の窓口となる警察との連携、これが重要であります。そこでの相談窓口への紹介、案内ができる体制整備を早急に構築していただくよう要望させていただきます。  次に、老朽化マンション対策についてです。  法改正を受けた全県での取組が重要です。政令市を含め、各市が速やかに計画を策定し、各管理組合に対し、助言・指導ができる体制整備を県がリーダーシップを取り、進めていただくよう要望させていただきます。  最後に、教育活動を支援する人材バンクについてです。  国の人材バンクも活用することで、市町村教育委員会の支援につながると思います。その上で大事なことは、どれだけ多くの方々が登録していただけるかによって、この人材バンクの価値が決まります。  登録促進の取組、さらには市町村との連携、しっかりお願いをさせていただいて、私の質問を終わります。                               〔拍 手〕 ○議長(嶋村ただし) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(嶋村ただし) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後2時45分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和2年第3回-20200916-028729-質問・答弁-松長泰幸議員-一般質問①令和2年度の財源不足に向けた県債の活用について②DMATとの連携について③県立スポーツセンターの活用について④農業生産力を維持するための農地利用の促進について⑤電力システム改革への県営電気事業の今後の対応について⑥編纂1300年を迎えた「日本書紀」の意義について》                   午後3時6分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共59名 ○副議長(いそもと桂太郎) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(いそもと桂太郎) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(いそもと桂太郎) 質問を続行いたします。  松長泰幸君。  〔松長泰幸議員登壇〕(拍手) ◆松長泰幸議員 議長のお許しを頂きましたので、私は県政会神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次質問させていただきます。  知事並びにスポーツ局長環境農政局長、企業庁長、教育長におかれましては、前向きな御答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴をお願い申し上げます。  〔資料提示〕  質問の第1は、令和2年度の財源不足に向けた県債の活用についてお尋ねします。  新型コロナウイルスの蔓延により、本県においても、4月から5月にかけて緊急事態宣言が発令され、一部の業態では、県からの自粛要請により、強制的とも言える経済活動の抑制が行われました。  緊急事態宣言が解除された6月以降、経済は一定の回復基調にはあるものの、その足取りは重く、当初考えられていた令和2年度後半のV字回復は難しいものと思われます。  この7月に公表された日銀短観では、今後の先行きについて、全国ではマイナス34ポイント、本県においてもマイナス32ポイントの大幅な悪化となるなど、今後の経済見通しについては、悲観的なムードが漂っています。  少なくとも、新型コロナウイルス感染症のワクチンが開発中である令和2年度中は、このような状況は続くものと思われます。  ところで、本定例会初日の知事提案説明において、知事は令和2年度の財政状況にも言及され、それによりますと、県税や地方譲与税の減収は約900億円と巨額な規模になるとのことでありました。  これらの減収に対応するため、地方財政法では減収補填債の制度が設けられており、本県でもその発行が予定されているとのことですが、今回の減収額からすると、令和2年度の発行額は相当な規模になると考えられるところであります。  また、リーマンショックを上回るとも言われる今回の事態において、減収補填債だけで本当に乗り越えられるのか、不安があります。必要であれば、減収補填債に限らず、発行できる県債は何でも発行すべきではないかと考えます。  そこで、知事にお伺いします。  県債発行の抑制による将来負担の軽減は重要ではありますが、大きな財源不足が予測される令和2年度において、今はできる限り県債を積極的に活用する財政運営を行うべきではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  〔資料提示〕  質問の第2は、DMATとの連携についてお尋ねします。  本年2月4日に、乗員・乗客約3,700人を乗せたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港し、乗客の中に新型コロナウイルス感染症の患者がいるとのニュースを耳にした際には、未知のウイルスが、この神奈川に上陸するのではと大きな衝撃を受けました。  そんな状況の中、感染者の搬送業務を一体誰が行うべきなのか、国なのか、県なのか、市なのか、固唾をのんで見守っていたところ、いち早く黒岩知事がその対応に当たったことは、大きな英断であったと思います。  そうした中、県が神奈川DMATに派遣要請を行い、駆けつけたDMATが大勢の患者等の搬送調整において御尽力いただいたと報道で耳にしました。また、実際に当時、搬送調整業務に携わった医療従事者から、私自身もお話を伺いました。  現場では、恐怖や混乱もあったと思いますが、こうした危機的な状況下で、医療の専門家が解決に向け、協力してくださったことは、非常に心強く感じ、市中感染を起こさなかったという点は、今でも感謝しているところであります。  人や物が国境を越えて日常的に往来する現代社会では、今後も、今回のように未知のウイルス等による新たな危機的事象は起こり得ることであります。  これまでDMATは、自然災害や列車事故等の大規模な集団災害に対応する救急医療の組織と理解しておりました。特に、神奈川DMATは、これまでも東日本大震災や平成28年熊本地震、昨年の京急の脱線事故や台風19号などにおいても迅速に行動されていて、高く評価されています。  〔資料提示〕  しかし、今回のような感染症の拡大といった、これまで想定していない危機下でも本県で医療崩壊を起こさなかったのは、DMATの活躍が大きいものと考えますが、このDMATが果たして持続可能な体制かどうかについては、私も懸念しているところであります。  一方で、今月に入ってからの大型で強力な台風の発生もありましたが、地球温暖化の影響等を踏まえると、今後ますます災害対策の充実が求められます。そういう点からも、神奈川DMATへの期待はますます高まってきます。  このたびのダイヤモンド・プリンセス号の件では、私の地元の藤沢市でも、災害拠点病院である藤沢市民病院から、神奈川DMATが派遣されましたが、一方では、派遣元の病院側の負担も考えなくてはなりません。  特に今回は、DMATの活動期間の基本である48時間という範囲でなく、2月5日からおよそ2か月の期間にわたることから、派遣元の病院に対する配慮やサポートは大事なことと思います。  もちろん、県とDMATにおいては協定書もあり、基本的な報酬等は国や県からの支給もあると承知しておりますが、目に見えない負担も考慮すべきと考えます。  そこで、知事にお伺いします。  今後、DMATの持続的かつ一層の発展のために、今から課題の探求と組織の充実が重要と確信しておりますが、どのように考えているのか、お伺いします。  〔資料提示〕  質問の第3は、県立スポーツセンターの活用についてお尋ねします。  平成28年度から4年の歳月をかけて、隣接する総合教育センターとの一体的再整備が進められてきた県立スポーツセンターは、昭和30年に本県で開催された第10回国民体育大会を契機に、藤沢市から陸上競技場の移管を受けるとともに、サッカー場とバレーボールコートを整備して、県営藤沢総合運動場として開場いたしました。  その後、昭和43年に県立体育センターと名称を改め、昭和46年には、第2体育館、屋内外のプール等の完成により、当時、東洋一と称された体育・スポーツの研究、研修拠点として、以後、多くの教員の研修をはじめ、アスリートや運動による健康の保持増進を目指している方々等に親しまれてきた施設であると承知しています。  さて、今年4月からの供用開始を予定していた同施設は、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、当初の予定から3か月以上遅れた7月21日に、感染症対策を施して、団体利用に限定して供用開始されたわけであります。  この9月1日からは個人利用も開始されたと聞いており、やっと県民の皆様が待ちに待ったスポーツ施設が戻ってきたものと感じているところです。  再整備された新たなスポーツセンターには、県内でも数少ない屋内の50メートルプールをはじめ、夜間でも利用可能なフットサルコートや砂入り人工芝のテニスコートといった施設が充実されたことはもちろん、障害者の利用にも配慮したスポーツアリーナ2や全館バリアフリー設計の宿泊棟などを備え、パラスポーツの活動拠点としても、県内のスポーツ愛好者から非常に注目されているものと思います。  こうしたすばらしい施設が、ようやく再出発できたことは、県民の一人として大変に喜ばしい限りであります。  当面は新型コロナウイルス感染症対策を優先しなければならず、十分な事業展開を行うことはできないと思いますが、今後、スポーツセンターが目指す健康・生涯スポーツの推進、競技スポーツの推進、障害者スポーツの推進の三つの機能について、しっかりと道筋をつけて取り組んでいただきたいと考えます。  そこで、スポーツ局長にお伺いします。  県内のスポーツ振興を図るため、スポーツセンターの三つの機能について、今後、具体的にどのような取組を展開していくのか、スポーツ局長の御所見をお伺いします。  〔資料提示〕  質問の第4は、農業生産力を維持するための農地利用の促進についてお尋ねします。  今年になってから、危惧するのは新型コロナウイルス感染症問題だけでなく、様々あると思いますが、世界の食料事情についても大変に気になる問題であります。  1月にアフリカ東部で大発生したサバクトビバッタは、中東からインドやパキスタンでも被害を発生させています。中国では、長江流域の大洪水で農作物は水没し、中国の穀倉地帯は大打撃を受けています。中国東北部においても、イナゴが大発生しているとのことで、今後、食料不足に陥るのではないかと言われています。  また、南米においてもイナゴが大繁殖しているということですから、世界中でバッタ被害に遭っていると言っても過言ではありません。  これらによって、食料価格の高騰はもとより、多くの食料輸出国が穀物の輸出制限を始めていると聞き及んでいるところです。  一方で、国内に目を転じますと、コロナ禍による食料供給への不安などから、一時的に米やパスタなどの食品が品薄になったり、7月の日照不足では、野菜の価格が高騰するなどの影響も出ています。今後、国内外で食料不足になった際には、買い占め等の混乱も心配されます。  本年8月に農林水産省が発表した令和元年度の我が国の食料自給率は、過去最低だった前年度より1ポイント持ち直したものの、38%という低い水準にありますから、他国からの食料輸入が途絶えることを想定すれば、食料の安全保障問題は、これまで以上に大きな課題になっていると言えます。  〔資料提示〕  そのような中、我が県に着目してみますと、神奈川県の食料自給率は、カロリーベースで2%と、全国で東京、大阪に次ぐ低い水準で推移しています。  もちろん、本県は、他県に比べて人口が多く、農地面積が少ないことや、野菜などカロリーの低い農産物の生産が多いことなどから、カロリーベースで見た食料自給率が低率となることは承知しているところでありますが、だからと言って、有事の際を考えれば、この数字に甘んじるわけにもいかないと思います。  今後は、このコロナ禍やバッタ被害や地球規模の災害によって、県内農業とその基盤である農地の重要性が、改めて認識されているのではないかと思います。  私の地元、藤沢市では、境川沿いの水田地域で、地域ぐるみの共同活動により、水路や農道の草刈り、遊休農地の発生を防ぐための管理作業を行うなど、地域が一体となって水田の保全に取り組んでいる地区があり、心強く思っているところですが、その一方で、市全体では、ここ数年、荒廃農地が増えてきていると感じております。  こうした中、県では、高齢化などにより耕作が難しくなった農地を、農業の中心的な担い手である認定農業者や新規就農者といった営農意欲の高い担い手へ集積する、農地中間管理事業に取り組んでいると承知しています。  今後、農家の高齢化等が進んでいくと、耕作されなくなる農地がさらに増えていくのではないかと危惧しており、農業生産力を維持していくためには、集積された農地をこうした担い手がしっかりと耕作していくことが、本県都市農業の持続的な発展を図る上で、大変重要であると考えます。  そこで、環境農政局長にお伺いします。  本県の農業生産力を維持するため、農地利用の促進に、どのように取り組んでいくのか、環境農政局長の御所見をお伺いします。  〔資料提示〕  質問の第5は、電力システム改革への県営電気事業の今後の対応についてお尋ねします。  本県は、津久井発電所を建設し、全国初の公営電気事業者として発電を開始して以来、戦後、高度成長期の電力不足の時期に、電力会社を通じて安定的に電力の供給等を行い、これまで県民生活の向上と県内産業の発展に寄与してきたところであります。  近年、環境に優しい再生可能エネルギーによる発電が注目されており、水力発電や太陽光を使って発電している県営電気事業の電気は、非常に有意義なものであり、将来にわたり安定的な供給に取り組んでいくべきものと考えております。  そうした中、国では、東日本大震災を契機に、電力の安定供給の確保、電気料金の最大限の抑制などを目的に、電力システム改革を進めてきているところであります。  この改革は、これまで全国10社の電力会社によって地域独占的に行っていた電気事業を、発電事業、送配電事業、小売電気事業の三つの事業形態に分離し、発電事業と小売電気事業については、事業者間の競争の促進等を図るために、市場原理の活用を柱とする電力取引の自由化を進めるものでございます。  さらに、小売電気事業については、完全自由化され、数多くの事業者によって電気の販売が行われており、電気をお使いになる県民が、自由に購入先を選択することが可能となっており、今後も事業者間競争の進展によって、より安価な電気料金メニューも出てくることが期待されるところであります。  〔資料提示〕  また、発電事業者においては、これまで電力量だけを取引していたものを、電気が持つ、発電するときに二酸化炭素を排出しない環境価値などで取引できるよう、新たに四つの価値に着目した市場が整備され、収入を得る選択肢が広がりました。  一方、四つの市場による取引に全面的に移行すれば、価格の変動に常にさらされ、これまで安定的に得られていた長期契約による売電から、大きく変わることになります。  県営電気事業においても、令和5年度までは、電力会社との売電契約により、一定の収入を安定的に確保できる状況にあることは承知しています。しかしながら、それ以降は、この改革による市場原理導入により、経営が不安定になることを危惧しています。  こうした課題に対して、再生可能エネルギーの普及推進をしていくためには、県営電気事業ならではの特色を生かした売電により、できるだけ安定した経営を目指すことが重要であると考えます。  そこで、企業庁長にお伺いします。  電力システム改革の進展によって、厳しい経営環境が見込まれる中で、県営電気事業の売電について、今後どのような考え方で対応していくのか、企業庁長の御所見をお伺いします。  〔資料提示〕  質問の第6は、編纂1300年を迎えた「日本書紀」の意義についてお尋ねします。  本年2020年は、我が国と日本人にとって、精神の土台、心の支柱とも言うべき日本書紀が編さんされてから、ちょうど1,300年という記念の年に当たります。  唐突の感を抱かれる向きもあるかもしれませんが、私は、この我が国最初の国史に対する世間一般の反応と向き合い方に、これでいいのだろうかという不安と残念の思いを拭い切れないのであります。  日本書紀は、養老4年、720年に天武天皇の第3皇子である舎人親王によって編さんされ、完成した我が国最初の歴史書であります。全30巻で、系図1巻は失われましたが、非常に大部である上に、全てが漢文で書かれているため、一部の専門家や研究者を除いて、一般の人には迂遠な存在で、身近な感じがしないのは事実であります。大黒様や恵比寿様、また因幡の白ウサギなどで知られる古事記に比べてみると、よく分かります。  しかしながら、日本書紀が編まれた時代背景や果たしてきた役割を考えますと、この国史編さんの偉業は無視することはできず、物語性の強い古事記と比較するのは適当ではありませんが、古事記以上に尊重、評価すべきではないかと思うのであります。  日本書紀の編まれた頃の我が国は、国内的には大化の改新後の動揺が尾を引いていて政権の土台は固まっておらず、対外的には唐が朝鮮半島を支配し、さらには日本にも触手を伸ばそうとしていた、極めて危うい状況にあったと言えます。  斉明女帝とその後を継いだ天智天皇は、唐と新羅の連合軍に攻められ、百済からの援軍要請に応えて兵を出しましたが、巨大な連合軍の前に敗れ去りました。これが有名な白村江の戦いで、天智2年、663年のことであります。  このような時代下にあって、その次の天武天皇は、天武10年、681年に、国民の心を一つにするとともに、歴史を重んずる大国・唐に侮られないための重要な一つとして、かの国に負けない立派な歴史書・国史を編さんし、突きつける必要に迫られたのであります。そこで編さんされたのが日本書紀であります。本書が漢文で書かれているのは、唐を意識していたからにほかなりません。  唐や新羅に通用する国史、日本書紀を完成させたことにより、天皇を中心とする政権が日本の国土を統治することや、天皇家が皇位を継承することの正当性が国内外に強く示されることになり、以後、奈良、平安へと平穏な時代が続いたのであります。  むろん、国史たる日本書紀の完成が国家統治の全てであるはずはありませんが、一つの大きな力になったことは間違いありません。  日本書紀の完成後、それに続いて続日本紀、日本後紀などから日本三代実録に至るまで、いわゆる六国史が編まれていったことを見ても、国家にとって、国史の編さんがいかに重要、重大であるかが認識されたことが分かります。  歴史家は、国家の安寧、安定のためには、歴史の連続性と正当性、伝統文化の固有性などがアイデンティティーを育み、国民としての共属意識を強めると指摘しています。その意味で、正史、日本書紀が統一国家としての我が国の建設に果たした役割は、偉大なものがあったと言えます。  その日本書紀が編さんされてから節目の1,300年に当たる今年、私たちはもう少しこの最初の国史に目を向け、思いを致すことがあってもいいのではないでしょうか。  テレビや新聞などのマスコミが、日本書紀完成1,300年について報じていることを、寡聞にして存じておりません。  また、学校教育では、学習指導要領解説において、日本列島における国家形成に係る学習の中で、神話・伝承などの学習を通じて、当時の人々の信仰や物の見方などへの気づきや、歴史上の事実を読み解くための資料の一つとして、古事記や風土記などと共に例示されている程度のようであります。  私が心配するのは、こうした状態が今後も続くと、次の世代あたりでは、日本書紀の何たるかも知らない国民で占められてしまうのではないかということであります。  国を愛するとは、国の歴史を愛することであり、国に誇りを持つことは、歴史に誇りを持つことであります。歴史を知らず、歴史を愛せない人は、自らも人も愛せず、他国も尊重することはできないと思います。  そこで、教育長にお伺いします。  編さん1,300年の今年、日本書紀の完成の意義をどう考え、どのように後世に伝えていったらよいのか、とりわけ、児童・生徒たちにどのように語りかけ、親しませていったらよいのか、また、大人に対しても、生涯学習の中で取り上げていただきたいと思いますが、教育長の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  以上で、第1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 松長議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、令和2年度の財源不足に向けた県債の活用についてお尋ねがありました。  令和2年度の財政状況は、歳入面では、県税収入が当初の見込みを900億円規模で下回る一方、歳出面では、コロナ対策や自然災害への対応などで追加の財政需要が予測されることから、一層慎重な財政運営が求められます。  そのため、県では、節減、抑制を徹底することとし、県主催イベントや海外視察、現時点で未着手の事業について原則中止とするほか、維持運営費などの内部的な経費についても見直すよう各局に指示しました。  令和2年度は、こうした削減努力に加えて、県債についても、貴重な財源として積極的に活用していく必要があります。  具体的には、公共事業などの投資的経費に充当する通常の県債を制度上の限度額まで発行していくほか、地方交付税の代替措置である臨時財政対策債についても、国から示された発行可能額の上限まで発行します。  また、予算編成後の税収減を補うための減収補填債についても、発行を検討していますが、現行制度では地方消費税の減収分が発行対象になっていません。地方消費税は、税交付金を差し引いた実質ベースで200億円もの多額の減収が見込まれているため、この減収分が補填されなければ、財政運営上、非常に厳しい状況となります。  そこで、県では、全国知事会とも連携し、地方消費税を減収補填債の発行対象に加えるよう、国に強く求めています。  このほか、過去の税制改正により生じた減収を補うために発行できる調整債についても、他の県債と同様に限度額まで発行していきます。  このように、県債を積極的に活用することで、令和2年度の財源不足を解消し、安定した財政運営に努めてまいります。  次に、DMATとの連携についてお尋ねがありました。  ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に入港した際、本県では事案の重大性を鑑み、DMATの派遣要請を行い、参集したDMAT隊員が多数の患者の搬送調整業務などを行いました。  ダイヤモンド・プリンセス号から患者を速やかに医療機関に搬送するとともに、その他の乗客・乗員も安全に下船を終えることができたのは、DMATの活躍が大きかったと認識しています。  DMATは、災害時に医療全体をマネジメントする訓練を受けているため、そうした知見を生かして、今回の医療危機事象としてのコロナ禍においても、全国に先駆けた医療提供体制、神奈川モデルが構築され、現在も本部の一部業務において支援いただいています。  一方、感染が拡大し、長期化するにつれ、隊員の派遣元である医療機関においても、増え続ける陽性患者に対応する必要が生じ、継続的に安定して隊員を派遣いただくことが難しくなっています。  対応が長期にわたる場合は、フェーズに応じて、県とDMATとの連携の在り方を検討する必要があり、コロナ対応においても、DMAT隊員以外の医療従事者にも協力いただける枠組みに切り替えていくなど、工夫してまいります。  また、感染症と自然災害といった複合災害等も想定される中では、DMATに対し、従来の救急医療に加え、感染症など、あらゆる医療危機に対応する高い専門性も期待されます。  こうしたDMATの体制強化については、6月に西村新型コロナウイルス感染症対策担当大臣が本県の臨時医療施設を視察した際、国としてしっかり取り組むよう、私から直接、要請をいたしました。  今後の医療危機に備え、県民の命を守る組織として、DMATが災害時により活躍できるよう、研修、訓練の充実等を国に働きかけるなど、国と連携して取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔スポーツ局長(平田良徳)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 平田スポーツ局長。 ◎スポーツ局長(平田良徳) スポーツ局関係の御質問にお答えします。  県立スポーツセンターの活用についてお尋ねがありました。  県立スポーツセンターは、最新のトレーニング機器や測定装置、バリアフリー設備を備え、健康・生涯スポーツ、競技スポーツ、障害者スポーツの推進という三つの機能を柱にした神奈川県のスポーツ推進拠点です。  新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、供用開始が当初予定の本年4月から7月に延伸はしましたが、県としてはこの秋以降、感染防止対策に留意しながら、施設・設備を活用し、三つの機能を発揮した事業を展開していくこととしています。  まず、健康・生涯スポーツの推進ですが、大学などの専門機関と連携し、一人一人の体力や健康状態等に応じた運動方法や、スポーツ活動を提案する未病改善スポーツドックを、10月をめどに開始する準備を進めています。  次に、競技スポーツの推進についてです。  最新の運動機能測定機器等を活用し、アスリートのトレーニング指導などを支援するスポーツ医科学・栄養サポート事業も、感染防止対策が優先される中、大学医学部との調整に時間がかかりましたが、同じく10月には開始する予定です。  また、運動能力に秀でた子供たちを募集し、様々な競技体験を通じて隠れた才能を見いだし、育てる、タレント発掘・育成事業は、今年度より実施する予定としていましたが、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、来年度以降実施できるよう準備を進めていきます。  次に、障害者スポーツの推進についてです。  障害者スポーツを進める上で、感染症対策は大変重要な課題ですので、障害者団体や専門家の御意見を頂きながら、随時、水泳、車椅子バスケットなどのスポーツ教室や、かながわパラスポーツ体験会などの取組も進めていきます。  スタート時から新型コロナウイルス感染症の拡大といった困難に直面しましたが、県としては、スポーツセンターが、県民の皆様が生涯を通じてスポーツに親しむための推進拠点になるよう、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔環境農政局長(石渡美枝子)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 石渡環境農政局長。 ◎環境農政局長(石渡美枝子) 環境農政局関係の御質問にお答えします。  農業生産力を維持するための農地利用の促進についてお尋ねがありました。  本県では、2000年から2015年の間で、農家数や農地面積が2割減少し、県内の野菜、果実、米の生産量を国民1人当たりの年間消費量で割った農業生産力も1割減少しました。  これに伴い、耕作放棄地の面積は3%増加しており、今後、後継者がいないために営農をやめてしまう農家が増えると、ますます耕作放棄地が増え、農地の減少が進むことが懸念されます。  こうした状況に歯止めをかけるため、県では、耕作できなくなった農地を借り受けて、新規就農者など、意欲のある担い手に貸し出す農地中間管理事業を推進しており、県、農業公社がマッチングを行っています。  しかし、貸出希望のあった農地が、借り手の希望する地域や農地の広さといった条件とマッチせず、貸し借りが進んでいないという実態がありました。  このミスマッチの解消を図るため、県が行った意向調査では、昨年度末の中間結果で農地の貸付けや売渡しを希望する農地所有者が43%であるのに対し、経営規模を拡大するために借り受けを希望する農地所有者は2%と非常に少ないことが分かりました。  そこで、今後は、こうした情報を基に、市町村や県農業公社と連携し、借受希望者が多くいる小田原市や平塚市などを対象に、集中的に農地集積を働きかけていきます。  具体的には、対象市町村の地域ごとに、農地利用について農家が話し合う場に県や市町村、農業公社職員も参加し、新規就農者や規模拡大を希望する営農者との貸し借りが進むよう、直接支援していきます。  こうした取組により、農地利用を促進して、耕作放棄地の増加を抑え、営農意欲のある担い手に農地を集積することで、本県の農業生産力の維持を図ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔企業庁長(長谷川幹男)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 長谷川企業庁長。 ◎企業庁長(長谷川幹男) 企業庁関係の御質問にお答えします。  電力システム改革への県営電気事業の今後の対応についてです。  県営電気事業は、現在、電力システム改革前に締結した長期売電契約により、発電コストに利益を上乗せする、いわゆる総括原価方式の電力料金収入で安定経営を維持しています。  しかし、電気事業環境は、電力システム改革の進展により、既に価格競争の時代へと変化していますので、現在の契約終了後の令和6年度以降は、この環境に適応した新たな経営努力が必要です。  電力システム改革による大きな変化として、環境負荷をかけずに再生可能エネルギーで発電する電気であることや、電力需給の急激な変化に対応して、瞬時に発電できる発電所であることなど、それぞれの価値に見合った価格で取引されるようになりました。  そして、新たな四つの取引市場の整備も進んでおり、今後は、県営電気事業の電気や発電所の特色を価値として活用し、収入を確保していくことが重要です。  県営電気事業の特色としては、まず、再生可能エネルギーの水力、太陽光で発電する電気には、二酸化炭素を全く排出しない環境価値があります。また、全国の公営電気では唯一の揚水式発電を行う城山発電所は、約5分間という短時間に8万世帯分の電気を発電する、優れた需給調整の価値を持っています。  そこで、こうした県営電気事業ならではの特色を最大限に生かすためには、どのような取引をすればよいのか、現在、新たな市場の活用を含め、あらゆる選択肢について検討を進めているところです。  今後、県営電気事業は大転換期を迎え、厳しい経営環境となることは避けられませんが、価格競争の中でも安定経営が行えるよう、一層の業務改善にも取り組みながら、電力システム改革に対応してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  編纂1300年を迎えた「日本書紀」の意義についてです。  日本書紀は、古代国家形成の際に国家事業として、出来事を年代順に編さんした我が国最初の編年体の歴史書であり、古代史の貴重な資料という意義があると考えます。  この日本書紀について、新しい学習指導要領では、子供たちの発達段階に応じた学習の進め方が示されています。  例えば、小学校では、大和政権による国家の統一を学ぶ際に、日本書紀などにまとめられた神話・伝承を手がかりに、国の形成に関する考え方に児童が関心を持つよう、また、中学校では、生徒が古代の人々の信仰や物の見方などに気づくよう学習することとされています。  高等学校では、古代の特色を今に伝える資料である日本書紀から、我が国や東アジア諸国の歴史的情報を読み取る力を身につける学習をすることとされています。  このように学校教育の中で、子供たちがその発達段階に応じ、多面的、多角的に学習することで、日本書紀が将来にわたって身近な存在になっていくものと考えています。  そして、日本書紀などに触れながら、自国の歴史や文化・伝統をより深く理解することは、グローバル社会の中で、自らのアイデンティティーを確立するとともに、他国の文化等を尊重する心を育むことにつながっていくものと認識しております。  あわせて、生涯学習の中で、日本書紀を取り上げたらどうか、という御提案についてです。  我が国の神話・伝承や歴史に興味、関心をお持ちの県民の皆様は多くいらっしゃると思います。そのため、県教育委員会では、県立社会教育施設において、日本書紀編さん1,300年の節目に当たり、今年、感染症防止対策を図りながら、関連図書の紹介や講座などを開催することとして、現在、その準備を進めております。  以上でございます。  〔松長泰幸議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 松長泰幸君。  〔松長泰幸議員登壇〕 ◆松長泰幸議員 知事並びにスポーツ局長環境農政局長、企業庁長、教育長におかれましては、前向きな御答弁をありがとうございました。  それでは、意見、要望を申し上げたいと思います。  まず、令和2年度の財源不足に向けた県債の活用についてでありますが、御答弁では、臨財債、主に減収補填債、あと調整債ですか、様々な県債を発行して何とかしのいでいくということでありますので、まずは一安心でありますが、来年度以降もこれまでになく厳しい財政運営となってきます。  これまでの健全財政を維持していくという姿勢も理解できますが、豊かな県民経済を維持し、発展させていくためには、例えば、県内GDP35兆円というレベルは、何とかキープしたいところであります。  もちろん、それには国の経済政策や経済全体の動向が大きく影響しますが、県の役割もしっかりと果たしていただきたいと思います。神奈川県の公共投資額は、およそ700から800億円規模で推移していますが、乗数効果を考えれば、決して小さい数字ではないと思います。これにつきましては、経済不況時のデフレ下であれば、1,000億円規模の投資金額が欲しいものであります。  来年度以降も県債をフルに活用し、厳しい県民生活の経済レベルを最低限維持できるようにお願い申し上げます。  続いて、DMATとの連携についてですが、今回のダイヤモンド・プリンセス号の件のような、そもそもの想定に入っていない感染症対応のために出動させるのは、適切なのかどうなのかといった賛否の議論があったように聞いております。  しかし、結果として、神奈川DMATが迅速かつ適切に行動されたことによって、日本DMATの考え方も変わったのだということでございます。  今後、あらゆる医療危機に対応できるように、汎用性の高い組織になることが重要と考えます。そのためには、これまでにない法的根拠を明確にする必要性があると思います。  県では、8月に医療危機対策本部室を立ち上げ、総合的に新型コロナ対策に取り組んでいることは、これまでにないことと評価しておりますが、国に対しても必要なことはしっかりと働きかけ、持続可能なDMATの構築に向け、一層の取組をお願い申し上げます。  続きまして、県立スポーツセンターの活用についてでありますが、御答弁でもありましたとおり、この施設の特徴の一つは、障害者のスポーツ拠点ということでありますので、スポーツする側も、そしてそれを観戦する側も、双方に配慮したインクルーシブな施設運営をお願い申し上げます。  また、善行地区をはじめとする地元の方々の細かな要望を、できるだけ取り上げていただくようにお願い申し上げます。  続きまして、農業生産力を維持するための農地利用の促進についてであります。  御答弁では、しっかりと担い手へ農地を集積していくとのことでありますが、やはり根本的には農業収入で十分な生活ができるようにならないと、なかなか農業の発展は難しいのかなと思います。  この課題については、また次の機会にさせていただきますが、現状、県内の耕作放棄地は約2,500ヘクタールとのことであります。平方キロに直しますと、約25平方キロメートルでありますが、まずは、この耕作放棄地をなくしていくことが喫緊の課題であると思います。  もちろん、この県内の耕作放棄地全てに、例えば米を栽培しても、県内の食料自給率は1%も上がらないことと思いますが、それでも数日分の県民の食料に充てることができると思います。  今後、耕作放棄地対策は一つの公共事業のようなものとして考えていただいて、補助金を出してでも耕作地になるような工夫が求められると思います。  この数年、農業関連費は年間40億円前後でありますが、食は生きる基本でありますので、約2兆円の一般会計から考えれば、いささか少ないように感じます。もっと予算をかけてもよいのではないでしょうか。  いずれにせよ、有事の際を考えれば、今の日本の農業事情は、やはり大きな不安を抱えています。今後は、今ある農業公社などを生かしながら、これまで以上に都市農業が成り立ちやすい環境をつくれるように知恵を絞り、大胆な政策を打ち出していただくように要望いたします。  続きまして、電力システム改革への県営電気事業の今後の対応についてでありますが、このたびの電力システム改革は、市場の整備に向けた制度設計が今も続いているということで、先行きが不透明な状況であると思います。  ただ、今月14日には、容量市場の入札の落札結果が示されたとのことでありますので、もちろん、これは全体の一部分ではありますが、今後の影響についての判断材料になるかと思います。  今後、万が一、県営電気事業の経営がうまく立ち行かなくなれば、それは結果として、そのしわ寄せを受けることになるのは、私たち県民であります。したがいまして、県営電気事業が持つ特色である環境価値、調整価値を生かすことができるように、経営改善に取り組みながら、しっかりと検討を進めていただくように要望いたします。  次に、編纂1300年を迎えた「日本書紀」の意義についてでありますが、なぜこれを取り上げたかというと、一つには100年単位の記念年ということもありますが、この節目の年を契機として、もう一度日本の悠久の歴史に目を向けていただきたいということであります。  本来であれば、今年は東京オリンピック開催年でありましたから、恐らくはオリンピックの開会式では、日本書紀編さん1,300年記念年を祝して、神話の時代からの日本の歴史を国の内外に発信できたのではないかと想定できるだけに、延期になったのは非常に残念に思うところであります。  だからこそ、国ができなかったことを神奈川県から発信できるようにお願いするところであります。  ところで、歴史学者のアーノルド・トインビーは、民族が滅びる三つの原則を挙げていると聞いたことがあります。一つの参考にしていただきたいと思いますが、これを聞きますと、どうもその三つ全てが、現代の日本に当てはまらないのか、心配するところであります。  その三つの原則の一つは、理想を失った民族は滅びる。そして二つ目の法則としては、全てを物の価値に置き換えて判断する民族は滅びる。そして三つ目でありますが、自国の歴史を失った民族は滅びる、と。  これは、十二、三歳までに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく100年以内に滅んでいるということを言っているそうであります。いかがでしょうか。  こういう観点からも、記紀神話については、小中学校の児童・生徒に一定の時間を割いていただいて、きちんと教えていただくように要望して、質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕 △《本会議録-令和2年第3回-20200916-028730-質問・答弁-上野たつや議員-一般質問①カジノを含む統合型リゾート[IR]について②アスベスト対策について③スーパーシティ構想について④[仮称]津久井農場計画について》   〔副議長退席、議長着席〕  〔上野たつや議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 上野たつや君。  〔上野たつや議員登壇〕(拍手) ◆上野たつや議員 日本共産党、横浜市神奈川区選出の上野たつやです。  私は共産党神奈川県議団の一員として質問いたします。  〔資料提示〕  第1の質問は、カジノを含む統合型リゾート(IR)についてです。  まず、カジノを含む統合型リゾート(IR)に対する認識について伺います。  私たち共産党県議団は、これまでもカジノ誘致に反対の主張を続けてきました。  この間、知事は、県全体の観光振興及び地域経済の活性化を図る上で、非常に有効なものであると発言してきましたが、その根拠がますます疑わしいものになっています。  私は、コロナ禍の下で、インバウンド、観光振興としてのカジノ事業そのものを見直さなければいけない状況に来ていると思っています。  横浜への進出を狙い、IR事業者の中で最有力候補とされていた米ラスベガス・サンズが日本におけるIR開発の枠組みでは、私たちの目標達成は困難であるとし、日本参入からの撤退を表明、その後、ウィン・リゾーツも撤退表明を行いました。  新しい生活様式では、感染症対策のために、3密が前提となる、これまでのカジノの事業形態が成り立たなくなっています。  〔資料提示〕  一方、横浜市が事業者の試算に基づき作成し、今年8月に公表した横浜IRの方向性では、1,200億円の収入増を達成するために想定している訪問者数は4,000万人です。これは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの年間入場者数1,494万人を大きく上回り、東京ディズニーリゾート3,255万人をしのぐような数となっています。コロナ禍を経て、こんなに大勢の人が訪れ、収入が得られるのか、甚だ疑問でなりません。  これまで市は、インバウンド効果により財政が潤うと主張してきましたが、実際には、約8割の日本人観光客を想定しており、先日、横浜市長がIRについて、外国人観光客に頼るということではなくて、国内観光も含めて盛んにしていかないといけないと発言したことから、IR施設は、外国人観光客ではなく、横浜を中心とした地域住民を対象にすることを表明したと、私は受け取りました。  〔資料提示〕  さらに、横浜市は、IRからの主な収入の一つであるカジノ入場料収入の使途として、第1に、IR区域の整備の推進、第2にカジノの設置及び運営に伴う有害な影響の排除としており、地域経済の活性化よりも、IRへの還元を優先する考えが見てとれます。  また、カジノの設計を手がける建築デザイナーは、ある講演の中で、子供が行くような施設も含めて、どこへ行くにもカジノの横を通るよう、次世代のことも考えてデザインしているとIR施設について説明しつつ、カジノについて、お客が一歩も出ないようにデザインする、カジノの利益をまちに還元するなんてあり得ない、あったら僕らの負けになると語っており、周辺地域には、全く経済効果をもたらさないことがはっきり分かりました。これがIR施設の実態です。  私は昨年の11月に、韓国のIRを視察しました。  〔資料提示〕  自国の方が唯一行くことのできるカンウォンランドカジノのあるまち、サブクは、カジノ客が寝泊まりするためのホテル、飲食店、風俗店が立ち並んでいます。  観光客の大半はIR施設内のホテルに泊まる一方、カジノの営業が終わる朝方には、まちを素通りして駅に向かい、電車で帰る人の列ができていました。  この地域では、カジノを誘致してから約20年間で、自殺者が約2,400人いるとも言われ、治安の悪化から、子育て世帯がまちから出ていき、誘致前には7万人程度いた人口が、今では1万人近くまで減少しているとのことで、おおよそ地域経済が発展しているとは言えない状況を目の当たりにしました。  デザイナーが語ったことは、私が現地で見て、感じたことそのものでした。  こうしたことから、カジノを含むIRを誘致したところで、地域経済が活性化しないことは明らかです。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍の下、カジノ事業が、観光振興や地域経済を活性化する根拠となり得ないことが明らかになりましたが、ポストコロナの時代においても、カジノを含む統合型リゾート-IRは、経済効果に寄与するといまだ考えているのか、見解を伺います。  次に、「カジノの誘致に対する直接請求運動」に関連して、住民の意向を尊重することについて伺います。  横浜市は、昨年の8月にIRの誘致表明を行い、コロナ禍の中でも、依然として誘致の姿勢を維持しています。そもそも、横浜市長は、カジノ誘致について白紙と言って当選を果たしました。市民の信任を得ていないカジノ誘致について、議会で可決をされれば、市民の信任、賛成を得たと言えるのでしょうか。  どの世論調査でも、カジノ誘致には反対の意見が6割以上を占めており、そして現在、住民投票やリコールなどの直接請求の運動が住民から起こっているのは、市長と住民の意見に乖離があり、市長が住民の意見を代表していないからだと言わざるを得ません。  一方で、知事は、IR誘致に関して、地元自治体の御意向を尊重すると述べています。果たして、この地元自治体というのは、市長、住民どちらの意見なのでしょうか。  そこで、知事に伺います。  IR誘致について、市長が住民の意見を代表しているとは到底思えない中、直接請求の運動が起きていることに関して、知事の見解を伺います。  また、知事は、地元自治体の意向を尊重すると述べているのであれば、何より住民の意見に沿うべきだと考えます。併せて見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、アスベスト対策について伺います。  まずは、石綿飛散防止の抜本的対策についてです。  私たちは、これまで、団としてアスベストの問題について、被害の実態や解体工事の問題を指摘し、被害への対応、規制の強化や条例化を求めてきました。  本県としても、昨年の環境審議会において、条例に規定すると方針が出されているところです。  また、今年の国会では、大気汚染防止法の石綿粉じんに対する規制に関する一部改定法案が可決され、これまで先送りされていたレベル3石綿含有建材が使われた建物に伴う石綿飛散防止対策が盛り込まれました。  事前調査の対象とし、規制の対象に入れたことは大きな前進だと思いますが、まだ不十分です。  〔資料提示〕  これまでの大気汚染防止法では、レベル1の吹きつけ材、レベル2の断熱材や保温材などを特定建築材料として対応し、石綿粉じんの飛散防止措置を行うものでした。  しかし、規制対象になっているレベル1・2建材の工事であっても、事前調査でアスベストを見落としたことによる無届けや、作業員のばく露対策と飛散防止措置の不備などで、アスベストが飛散する事故が発生していました。  今回の法改正について、今後、省令により作業基準が定められることになりますが、パブリックコメント案では、レベル3建材については、解体・除去作業において、破壊せず原形での取り外し、いわゆる手ばらしか、それが困難な場合は、湿潤化、いわゆる水まきを行うことで飛散防止措置を図ることとしており、飛散性が低いとして、レベル1・2建材と同程度の飛散防止措置が義務づけられませんでした。  しかし、厚労省の石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループにおいて、多くの委員会から、実際では、レベル3建材が飛散している実態が示されています。  委員からは、アスベストは飛散する、飛ぶという前提の下に、いろいろな適用除外をしていくことではないのか、本来なら、隔離が前提だ、などの批判が出されました。  また、レベル3建材の一つであるケイ酸カルシウム板第一種について、厚労省は、湿潤化された場合でも、レベル2建材並みに石綿が飛散すると認めています。  本県のアスベスト対策について、条例改正の方針の中では、レベル3建材について、レベル1・2建材と同様の飛散防止措置や大気濃度測定は行われないとのことです。このことは、本県の環境審議会においても指摘がされています。  先日、建設現場でアスベストを吸い込み、健康被害を受けた県内の元建設労働者と家族・遺族の64名が、国と建材メーカーに損害賠償を求める建設アスベスト訴訟の判決がありました。  一人親方の救済も認められ、直近の結果と合わせると、これで14回続けて国が負けたことになります。  多くのアスベスト被害者が命を落とし、今も苦しみ続けている現状について、早期に国が対応していかなければいけない問題ではありますが、今後、レベル3建材の規制が遅れたことで被害が出たときには、県の責任も問われるのではないでしょうか。  二度とこのような事態を起こさないためにも、多くの県民に影響を及ぼす危険性のあるレベル3建材について、国に先行する形で、県として厳しく規制する必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  石綿飛散防止の抜本的な対策のため、作業実施届、隔離養生、集じん・排気装置の使用及び大気濃度測定等について、レベル3建材を含めた全ての石綿含有建材を対象に、義務化を図る必要があると考えますが、見解を伺います。  次に、アスベストの除去工事の費用補助についてです。  アスベストの除去をする際には、レベル1・2建材だけではなく、レベル3建材に関しても、飛散防止の対策、自身がばく露しないための専用のマスクなど、通常の解体とは違い、人も時間も費用もかかります。また、廃棄物として処理をする際にも、費用負担が大きいのが現状です。  レベル1・2建材の解体ピークは2030年頃です。また、レベル3建材は、アスベストの被害が報告され、レベル1・2建材の使用がおおむね禁止された後も使われ続け、ようやく2012年に全面禁止されたことから、これからの解体工事は、レベル3建材が解体の中心となり、増加していくことは明白です。  このような中、県は、アスベストの除去工事に対する費用補助を行っていません。また、県内の市町村においても、横浜市、川崎市、相模原市の3市のみで、レベル1建材に限定して行っているのが現状です。  アスベストの除去工事が適切に行われるよう、動機づけ、インセンティブになるよう、国任せにせず、県として独自の補助を行う必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  アスベスト含有建材の解体工事費用は多額になることから、解体工事に関して、県として独自の補助制度を設ける必要があると考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、スーパーシティ構想について伺います。  国家戦略特別区域法の一部を改正する法律、いわゆるスーパーシティ法は、今年の国会で成立しました。  スーパーシティ構想は、AIやビッグデータなどの最先端技術を利用して遠隔医療や教育、自動運転、キャッシュレス決済、ドローンによる配達、顔認証を使った交通機関の利用などのサービスを、一括して住民に提供するものと言われています。  県内では、藤沢市と鎌倉市が、昨年10月に国の自治体アイディア公募に応募しています。特に鎌倉市は、グリーンフィールド型として、新規のまちづくりとスーパーシティ構想を併せるために深沢地区を想定しています。  〔資料提示〕  この深沢地区は、県と藤沢市と鎌倉市が一体となって、藤沢市村岡地区に新駅の設置を進め、本県が進めるヘルスケア・ニューフロンティア政策や未病関連事業などと関連させ、スーパーシティ構想を推し進めようとしています。  この構想については、知事も、ぜひ実現したいと強く思っていると発言しており、川崎市殿町と深沢地区を結んだ連携を計画していることなどを考えれば、県が先導するような形で藤沢と鎌倉の両市に働きかける中で、村岡新駅の構想も動き出したと私たちは考えています。  このように、この構想を本県は進めていますが、課題も多くあります。  スーパーシティでは、住所、年齢、マイナンバー、顔写真、健康状態や預金口座をはじめ、詳細な個人情報を、データ連携基盤に提供することが求められます。膨大なデータ管理と運用について民間企業に委託することが想定され、本人が知らないうちに行政が持っている個人情報が企業に利用され、プライバシーが侵害されるおそれがあります。  また、特区担当相、首長、事業者、住民代表から成る区域会議で基本構想をつくりますが、誰を住民代表とするのか、何を住民の意向とするのかの規定がないため、住民の声が反映されず、形だけ意見を聴いて、構想を進めることも可能となってしまいます。  さらに、町中の至るところに監視カメラやセンサーが設置されることで、企業や自治体などが、一人一人の行動、思想・信条、交友関係などの記録を日常的に管理、監視することも可能となります。  これまで、この構想について、日本は中国の杭州市をお手本としてきました。杭州市は、IT企業アリババの本拠地があり、交通違反対策など、まち全体のIT化が世界で一番進んでいますが、裏を返せば、町中に監視カメラが数千台設置されていることから、監視社会の最先端となっています。  その結果、中国では、国民への監視や統治に活用し、ウイグル族弾圧や民主化を求める活動家の拘束にも、監視カメラや顔認証技術が用いられてきました。  こうした監視社会に対して、カナダのトロント市では、グーグル関連企業による監視センサーの設置に対する住民の反対運動により、グーグル関連企業はプロジェクトから撤退に追い込まれました。  また、アメリカのサンフランシスコ市では、公共機関による顔認証技術の使用を禁止する条例が制定されました。危険をはらんでいるからこその禁止条例だったのではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  いわゆるスーパーシティ構想に関して、個人情報保護がないがしろにされ、プライバシーが侵害されること、また、住民一人一人の行動が監視されることが懸念されますが、課題についてどのように認識しているのか、見解を伺います。  また、藤沢市や鎌倉市では、スーパーシティ構想に参加することを前向きに検討していると認識していますが、多くの課題があるまちづくりを、県として進めるべきではないと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  最後に、相模原市緑区において計画されている(仮称)津久井農場計画について伺います。  まず、県が行う林地開発許可についてです。  この計画は、茅ケ崎市の有限会社佐藤ファームが、相模原市緑区長竹における約21ヘクタールの土地に、約3年にわたり60万立方メートルの土砂等を埋め立て、おおよそ250頭の牛を飼育する農場を造る事業です。佐藤ファームが事業者、株式会社フジタが業務代行者として計画が進められています。  現在、この計画は、相模原市の環境影響評価制度の基準にのっとり、環境影響評価準備書が市に提出され、相模原市長より準備書市長意見書が今年3月11日に出されたところです。  評価過程で行われた公聴会では、事業主が茅ケ崎市に住みながら1時間かけて毎日通うため、夜間は誰もいないとされることへの管理体制への不備や、土砂を運び込むために、生活道路を1日に120台以上ものダンプカーが通行することによる生活環境の悪化、さらに、ダンプカーが通る相模原市道の拡幅工事では、影響を受ける住宅について、事業者が勝手に転居予定と市に説明し、当該の住民は、そんなことは一度も言ったことがないと主張していることなど、地元住民から様々な不安の声が出されました。  また、事業者と業務代行者が行った説明会において、事業者の答弁が二転三転する上、60万立方メートルもの土をどこから持ってくるのか、現段階でも未定と答えていることから、業務代行者のフジタは、リニアの工事を行っている会社なので、受入れの同時期に計画されている津久井農場計画は名ばかりで、実際にはリニア工事の残土処理なのではないかなど、懸念の声もあり、地元住民から市長宛てに、計画に反対する2,247人分の署名と要望書が届けられました。  このような経緯から、市の環境影響評価の過程で行われた審査会の最後には、会長から、この計画について、住民とのコミュニケーションはやり過ぎてまずいことはない、このことを常に念頭に置いて最大限の努力をとの発言があり、準備書市長意見書においても、環境影響を受けるおそれのある地域住民などとの意思疎通を図ることを求める旨の内容が記載されました。。  そして、この計画に対しては、土砂災害の発生を危惧する地元住民の声も多数聴いています。  3年前にも1度、相模原市長竹地区と愛川町の境にある志田峠において、本県の林地開発許可を受けた、盛土による大規模な残土処分場が、台風の影響で土砂崩れを起こしているところです。  県が、土砂災害が発生するおそれがないと判断し、林地開発許可を出したにもかかわらず、土砂災害が発生したことから、住民の不安や衝撃は、非常に大きいものがあったと思います。  〔資料提示〕  今回、盛土を行うとされている谷の直下には、相模原市韮尾根の集落があり、下流域には愛川町の半原地区があるため、相模原市だけではなく、愛川町にも重大な影響を及ぼすことが容易に想像できます。  もともとこの地区は、県が土砂災害特別警戒区域、土砂災害警戒区域に指定しているところです。仮に、豪雨や地震により、盛土が崩壊した場合、二重の危険にさらされることになります。  私は、甚大な影響のおそれのあるこの計画について、やめるべきと考えます。広域的な視点での対応が求められているのではないでしょうか。  そこで、知事に伺います。  (仮称)津久井農場計画に対しては、過去に林地開発許可を受けて行われている工事において、土砂崩れが発生したことなどにより、相模原市や愛川町の住民から多くの不安の声が出されており、森林の持つ災害防止などの機能が損なわれないように取り組む責務を負っている県として、事業計画そのものについての調査を行うことを含めて、広域的な視点で、住民の不安に応える必要があると考えますが、この問題に対する見解を伺います。  次に、県の林地開発許可の基準についてです。  〔資料提示〕  森林法に基づく林地開発許可には、四つの基準があり、その中の一つに土砂災害を防止するための基準が設けられています。この基準で、土砂災害から県民の命を守ることができるかが問題です。  計画の予定地は、山あいの谷になっており、地上から約60メートルの高さまで盛土をする、谷を埋め立てる、いわゆる谷埋め盛土によって農場を建設するとしています。  〔資料提示〕  地元住民が開いた学習会の中で、日本科学者会議長野支部幹事の桂川氏は、大雨や地震で谷埋め盛土全体が地滑りを起こす滑動崩落が各地で発生しており、この計画予定地で地滑りが起きれば、土砂災害の深刻な被害を及ぼすおそれがあると指摘しています。  谷埋め盛土の危険性については、2006年に出された京都大学防災研究所の釜井教授らが発表した報告書、地震による大規模宅地盛土地すべりの変動メカニズムにおいて解明されており、宅地造成等の規制に関する法律の改正にもつながっています。  本県の林地開発許可基準については、谷埋め盛土のメカニズムが解明された2006年以降、東日本大震災を経ても改善されてきませんでしたが、昨年、国の太陽光発電に係る林地開発許可基準のあり方に関する検討会において示された内容に基づいて、谷埋め盛土に関する一定の基準が示されました。しかし、十分とは言えないと考えます。  谷埋め盛土の滑動崩落は、地下水の水位が重要とされており、水位の上昇を防止するために、定期的な地下水の排水が必要とされていますが、基準では、10年に一度あると考えられる降雨強度で排水施設の設計をすればよいとしており、50年、100年に一度の豪雨災害が毎年発生している中、この基準では不十分だと考えます。  また、排水施設について、国の大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドラインでは、定期的な維持管理が必要と示されていますが、それを継続して行う責任が明確にされていません。  釜井教授は、JR東海による長野県での谷埋め盛土計画について、未来永劫、管理する覚悟がなければ、谷埋め盛土を行う資格はないと事業者に対して言い切っています。  林地開発許可基準は、県として独自に厳しい基準にすることができることを踏まえ、土砂災害の危険から県民の命を守るためにも、谷埋め盛土の危険性を考慮した基準に変更するべきと考えます。  そこで、環境農政局長に伺います。  県として、独自に厳しい基準にすることができる林地開発許可の基準については、土砂災害の危険から県民の命を守るためにも、谷埋め盛土の危険性を考慮した内容に変更するべきであると考えますが、環境農政局長の見解を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 上野議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、カジノを含む統合型リゾート(IR)についてお尋ねがありました。  まず、IRの経済効果についてです。  IRは、IR整備法上、観光振興に寄与する諸施設とカジノ施設が一体となる施設群であり、民間事業者の大規模な投資により、観光及び地域経済の振興などを目指すものとされており、一定の経済効果は見込まれると認識しています。  現在、横浜市は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、IRの全体スケジュールを延期していますが、感染症収束後は、長期的な視点で経済回復の起爆剤になるとの見解を示しています。  横浜市が誘致しようとするIRの経済効果については、コロナ禍における社会・経済環境の変化等を踏まえ、市とIR事業者が法の趣旨に沿って精査していくものと考えております。  次に、「カジノの誘致に対する直接請求運動」に関連して、住民の意向を尊重することについてです。  IR誘致に関連して、住民投票や市長のリコールを求める署名活動の動きがあることは、報道を通じて承知していますが、こうした活動は、住民の意思を表明するための手法の一つであると認識しています。  一方、横浜市は説明会の開催や広報よこはま、広報動画などを通じて、IRについての理解促進に取り組んでおり、今後も、事業の節目ごとに丁寧な説明を継続していくこととしています。  横浜市には、住民の皆様から十分な理解が得られるよう、引き続き丁寧な取組を進めていくことを期待しています。  IR整備法上、IRの申請主体である横浜市は、地域の合意形成のための手続として、公聴会の開催をはじめ、住民の意見を反映するための取組や市議会の議決を得ることなどが求められています。  県としては、市が法の趣旨を踏まえ、こうした手続を着実に行うことで、住民の意見がしっかりと計画に反映されるものと考えており、その状況を注視してまいります。  次に、アスベスト対策についてお尋ねがありました。  まず、石綿飛散防止の抜本的対策についてです。  まず、飛散性の高いレベル1及び2の建材の解体ですが、議員御指摘の4項目のうち、作業実施届、隔離養生及び集じん・排気装置の設置の3項目は、従前から大気汚染防止法に義務づけられています。  一方、残りの1項目である解体時の大気濃度測定については、本年6月の法改正で義務づけが見送られましたが、県では、生活環境保全条例に盛り込む方向で検討しています。  次に、飛散性の低いレベル3の建材の解体ですが、今回の法改正により、新たに作業基準が定められ、これを遵守すれば、飛散防止は可能であることから、県として追加の規制を行う考えはありません。  県では、今後も、法や条例に基づき、建築物等の解体に伴うアスベストの飛散防止対策を徹底してまいります。  次に、アスベストの除去工事の費用補助についてです。  アスベストを含む建築物の解体は、全国的に増加すると見込まれており、解体工事に伴うアスベストの飛散防止は、建築物の所有者が費用負担して行う必要があります。  これまで、全国知事会から国に対して、建築物の所有者等に対する助成制度の創設など、アスベスト対策の充実強化を国の責任において実施するよう要望しています。国に対しては、引き続き要望を行い、アスベスト対策の強化を求めてまいります。  次に、スーパーシティ構想についてお尋ねがありました。  スーパーシティは、国が主導して各地域が抱える社会的課題の解決に向けて、AIやビッグデータなどの最先端技術を実際の暮らしの場で活用し、未来社会の生活を先行して実現する丸ごと未来都市を目指す構想です。  この法案の国会での審議の際には、個人情報保護やプライバシー、住民の行動監視等について議論されました。  その際、国は、政府がデータの安全管理基準を定め、サイバーセキュリティー対策等を義務づける、行動履歴を個人が特定可能な形で用いる場合は、本人の同意が必要であり、いわゆる監視社会につながらない、との見解を示しています。  こうした国会における議論を踏まえ、国はデータの安全管理基準を設け、その遵守を国が確認するという内容等を盛り込んだ政省令を定めるなど、様々な課題に対して必要な措置を講じているところであります。  県としては、こうした国の措置により、個人情報保護等についても、必要な対策が取られていくものと認識しています。  次に、スーパーシティ構想は、最先端技術やデータ活用により、社会的課題を解決し、県民生活を向上させるという点で、本県の目指す方向と軌を一にするものであり、Withコロナへの対応が求められる中、県としては、この構想を県内で実現する必要があると考えています。  県としては、関係市町村や企業、大学と連携を図り、スーパーシティ構想の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  最後に、(仮称)津久井農場計画についてお尋ねがありました。  県が行う林地開発許可についてです。  (仮称)津久井農場計画については、現時点で、県に林地開発許可の申請が提出されていません。今後、許可申請が提出された場合は、林地開発許可の審査基準に照らし、適正に審査を行ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔環境農政局長(石渡美枝子)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 石渡環境農政局長。 ◎環境農政局長(石渡美枝子) 環境農政局関係の御質問にお答えします。  林地開発許可基準についてお尋ねがありました。  森林法に基づく林地開発許可は、無秩序な開発行為によって、水源涵養や土砂災害の防止といった、森林の重要な機能が損なわれることのないよう、県が審査し、許可処分等を行う制度です。  県では、国が検証した基準を準用しており、その基準は適正と判断していますので、変更する考えはありません。  県としては、法にのっとり、適切に対応してまいります。  答弁は以上です。  〔上野たつや議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 上野たつや君。  〔上野たつや議員登壇〕 ◆上野たつや議員 御答弁、頂きました。  3点、再質問をさせていただきます。  まず、カジノ誘致に関連して、住民の意向を尊重することについてです。  地域の合意形成のための手続等々と御答弁がありましたが、この間、市長自ら、全ての行政区で説明会を行うと言っておきながら、コロナを理由に、6行政区で説明会が開かれておらず、コロナ禍以前の説明と同じ内容のものを、動画配信で一方的に発信しているだけです。  カジノを誘致すれば、横浜市民だけではなく、県民にも当然影響があります。また、治安の悪化や依存症対策に関して言えば、県の責任で行わなければならず、より多くの財政負担が生じることになります。  それにもかかわらず、横浜市は、市民にすら丁寧な説明を行えていないのが現状です。知事は、この状況をどう見ているのか、見解を伺います。  次に、県が行う林地開発許可についてです。  計画が来ていないということで、来たらしっかりと行うというお話でしたけれども、かつて近隣地域で林地開発許可を行った地域で土砂災害が起こっていて、復旧工事が既に行われて、指導等も行われているというふうには伺っているのですけれども、そういう事故があったからこそ、地域住民は不安に思っています。  この計画を進める上では、必ず県に許可の申請が来ます。住民の不安の声をつかんで、事前に状況把握をしていくことが大切だと考えますし、そういった行政の取組自体が住民の声に応える第一歩だと思っています。  状況把握をすることも考えていないのか、現場の実態について、つかんでいるのか、伺います。  最後に、県の林地開発許可の基準についてです。  今の御答弁だと、国の基準が十分だということでしたが、現状の基準で、先ほどもお話ししたとおり、実際には土砂崩れが起きています。近年、雨の降り方が激甚化している中、国が示す基準以上の内容については、改正を検討しないということでしょうか、伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 再質問にお答えいたします。  まずは、IR、市民への説明の問題であります。  IR整備法におきましては、地域の合意形成に向けて、住民意見を反映するための措置が定められておりまして、市は住民の理解促進に向けて、丁寧な説明を継続することとしています。  県としては、市がこうした手続などを着実に行うことで、住民の意見がしっかりと計画に反映されるものと考えております。  それから、林地開発許可の問題であります。  林地開発許可は申請主義のため、今後、許可申請が提出された場合には、林地開発許可の審査基準に照らし、適正に審査を行ってまいります。  答弁は以上です。  〔環境農政局長(石渡美枝子)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 石渡環境農政局長。 ◎環境農政局長(石渡美枝子) 林地開発許可基準についての再質問にお答えします。  現在、国が示している基準は、全国における近年の山地災害の発生リスクを踏まえて検討した上で定められており、その基準は適正と判断していますので、変更する考えはありません。  答弁は以上です。  〔上野たつや議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 上野たつや君。  〔上野たつや議員登壇〕 ◆上野たつや議員 最後に、要望させていただきます。  まず、IRについてですが、私はIRを住民に理解してもらうということではなくて、そもそも住民の意向を尊重するべきということで、今回主張させていただきました。  直接請求の運動が実際に起こり、それに基づいて住民が積極的に意見を言おうとしているわけですから、やはり住民の意見に沿うことが首長のあるべき姿だと思います。  そこに関しては、県も、市が決めることだと一歩引いて見るのではなく、県民のこうした運動を重く受け止め、自治体としては、住民の意見を第一に尊重するべきと要望します。  次に、アスベスト対策についてですが、アスベスト建材の解体のピークはこれからです。法改正や今回の条例改正を逃せば、次の検討は5年後になります。  レベル3建材の飛散性については、厚労省も認めており、被害も実際に出ているわけですから、建設労働者をはじめとする県民の命、健康を守るためにも、そしてこれ以上、アスベストの被害を生まないためにも、レベル3建材の抜本的な規制とともに、除去工事が適切に行われるためにも、補助金の創設を要望します。  次に、スーパーシティ構想についてですが、国はこの間、個人情報保護法制を守るとしており、先ほどの答弁でも、国は大丈夫なのだということで対応していくのだというようなお話でしたけれども、日本の法制は、IT技術の進歩には全く追いついていないのが現状です。  個人情報の流出は、各地で日々起きています。一たび個人情報が流出してしまえば、被害を受けるのは、そこに住んでいる県民です。課題が多いスーパーシティ構想を推進することについては、県としてやめるべきだと改めて要望します。  最後に、(仮称)津久井農場計画についてですが、私は、まず、ぜひ現地に行って、地元住民からの生の声を聴いてほしいと思います。本当に地元の方たちは怒っています。そして、不安に思っています。この計画の経過を見れば、住民から不安の声が上がるのは当然です。  一方で、県は林地開発の許可権限を持っているわけですから、住民の不安の声に寄り添う姿勢が求められます。  また、各地域で独自に対応するために地方自治体があるわけですから、国の基準どおりでよしとしてしまえば、独自性が失われてしまいます。  以前の事故も踏まえて、改めて県民の命を守る観点に立った基準の引上げを要望し、私の質問を終わります。                               〔拍 手〕 ○議長(嶋村ただし) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(嶋村ただし) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○議長(嶋村ただし) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、明17日午前10時30分に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後4時38分 散会...